20.ボーダーラインの向こう側(3) ページ26
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「なんで俺がトシちゃんのレコードに付き合わなくちゃいけねぇんだよ、俺はマッチ派です」
「えー……。じゃあ伊藤ちゃんに付き合ってもらおうかな」
「いや、あのごめん理子ちゃん、俺今日ちょっと用が……」
申し訳なさそうに謝る伊藤君に、理子ちゃんは残念そうながら「じゃあ仕方ないか……」と諦めたようだ。
しゅんとする理子ちゃんを慰めようと名前を呼びかけた瞬間、佐川君が思いついたように声を上げた。
「あの、理子さん！ 俺一緒に行きましょうか？！」
「佐川君が？」
「そうだ、Aさんも一緒に！ ぜひ！」
目を輝かせて私をぐるんと振り返った佐川君に思わず仰け反る。
思わず口元がひきつった。
「わ、私？ いやぁ、私はちょっと……」
「そんなこと言わずに！ ね、いいじゃないっすかー！」
言いながら、佐川君が私の背中を押す。
ぐいぐい強い力で押し出されるそのすぐ先は、もう校門だ。
まずい、これ以上進んだら。
両足に力を入れて突っ張ってみても、佐川君の力が思った以上に強くて全然太刀打ちできない。
縋るような目で三橋君たちを見ると、慌てた私に気付いた彼らが佐川君を止めようと手を伸ばして、――しかし一歩間に合わずに私の体は門外に出てしまった。
……出て、しまった。
「……え、ええええ？！」
いつもなら見えない壁に阻まれて進むことができない門の向こう。
その向こうに私がいる。
言葉にならずみんなを振り返るしかない私に、開いた口が塞がらない三人、それから事情が分からず笑顔のまま首をかしげる佐川君という可笑しな集団の出来上がりだった。
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玉屋(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます、励みになります！ (2019年3月2日 10時) (
レス) id: 038d2716d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新、楽しみにしています！ (2019年3月2日 2時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉屋 | 作成日時：2019年2月5日 9時
