隣の席の君/虎杖悠仁 ページ37
「やっほう虎杖くん。おはよう」
「おっす、おはよ」
ひらひらと手を振って隣の席に座るとお返しとばかりに輝く笑顔を振りまく虎杖。毎日楽しそうでいいなあと思う。
「今日は任務？座学だけ？」
「今日はなんもない。もしそっちも任務ないならさ、駅前の新しいタピオカ飲みに行かね？一回行ってみたかったんだよな」
「あ、ごめんパス。買い物あるから」
「そっか。じゃあ釘崎誘うわ」
眉毛をハの字にして残念そうな顔をする。さながら小動物のようだ。もっとも、彼は愛されなくとも自分で自分を最低限守れるほどの強さを持ち合わせているのだけれど。
買い物についてくるとは言わないんだな。そういえば前に大きな買い物をすると言った時に荷物持ちでもやろうかと申し出られたがイライラしていた拍子に手酷く断ってしまった事がある。
気の乗らないことがあると爆買いするのが私のストレス解消法となって久しい。その出来事が起こったのはもう何ヶ月も前だと言うのによく覚えているものだ。そういう所が万人から愛される人間であるのだなと改めて感心した。
だからといって見習うとかそんなことはしないし出来ないけども。
「ごめんね」
「や、全然！うまかったら4人で行こうぜ」
「そうしよそうしよ」
その後も他愛のない話がずっと続く。五条先生はまだ来ない。チャイムが鳴って10分が経つ。遅刻にしては遅いから、緊急の任務でも入ったのだろう。
野薔薇と伏黒は二人で宿泊の地方任務だ。4人揃わないと、なんというか締まらない気がする。このまったりとした空気も嫌いじゃないが。
しばらく話しているうちに、虎杖の視線が私の左手首にちらりちらりと移っていることに気づいた。
「気になるの？」
「まあ。ごめん」
「いいよいいよ。あと1年くらいかなあ。や、1年もないか。よろしくね」
私の左手には特級呪霊が宿っている。生まれた時に死ぬのは17年後だと言われたらしい。虎杖の特級呪物の受肉と違って、私が死ねばその呪霊は宿り木を失いどこへ行くかわからない。それを阻止するために17歳前夜に呪いで殺されることが決まっている。
「こんな感じでゆっくりまったり時間が過ぎるのは楽しいし安心するよ」
また困った顔をする。そんな顔をさせるつもりじゃあなかったのだけれど。ごめんねと心の中で呟いた。
「頑張ろうな」
困った顔のまま、虎杖はそう言った。特に私が頑張ることなんて無いんだけどな、なんて思いながらうんと返した。
虎杖は嬉しそうに笑った。
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葡萄ゆづゆ(プロフ) - ささまめ。さん» 時間的に私かな？と思ったので返信させていただきます。滅茶苦茶に嬉しいです、ありがとうございます。最上級のお褒めの言葉、創作者冥利に尽きます。本当にありがとうございます…… (2019年11月14日 20時) (
レス) id: 167dee6e94 (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 最新話、題名とお話の内容、どちらとも何故か泣きかけました。いつも素晴らしい作品をありがとうございます。 (2019年11月12日 17時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - はるさめさん» そうなんですね すみませんご解答ありがとうございます 名前がどうだからこの作品を見ないっていう訳ではないのでこれからも読まさせてください 更新頑張って下さい 応援してます (2019年7月14日 23時) (レス) id: baa98cba69 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - ロゼさん» 他の作者さんについては本人の意向があるだろうし何も言えませんが、私自身短編を書く時はなんとなく名前を出さないように書いちゃいますね。ですが名前を出す際は名前変換を使おうと思っています！解答になっていなくてすみません。引き続きご愛読頂けると幸いです。 (2019年7月14日 19時) (レス) id: 965a17df9d (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - いつも良い話をありがとうございます すみません 質問なのですがこの作品は名前変換がない作品なのですか？ (2019年7月14日 19時) (レス) id: baa98cba69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呪術廻戦1周年をお祝いする人 x他2人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2019年5月12日 22時
