いかないでね/五条悟 ページ3
この世から全てが消えた時、私はどうなってしまうのだろうか。
「……どうしたの?珍しくめんどくさいね」
「ん、なんとなく」
あとめんどくさいは余計だと思う。そう言って愛しい人、もとい悟の手を触る。センチメンタルな気分になると、なんとなく人肌が恋しくなるじゃない。センチメンタル、というより哲学的な疑問のようにも思えるけれど。
ソファーにもたれかかる男女2人。端から見れば普通の恋人同士。
なんの心配も無く、甘やかな時間だけが過ぎていく_____はずなのだが、生憎、私たちは呪術師でありまして。いつでも死と隣り合わせなのです。ああ、残念残念。
死と隣り合わせの私たちは、他の人の数倍、生への執着があるような気がする。これもハングリー精神という奴なのだろうか。嫌だなそんなハングリー。
「え、待って悟肌しっろ。女子じゃん」
「ふふん、GLG五条に死角無しだからね」
「それ関係ないと思う」
指はごつごつ骨張っていてしっかり男の人の手なんだけれど、肌は白くてきめ細かい。白魚の様な、とはこういう事を言うんだろうな。羨ましい。
白。1度も日の光を浴びたことの無いような。そんな人間離れした白。
眼前の彼は呪術師最強で、けれどいつ死ぬか分からないような儚げな人で。貴方もいつか消えてしまう。きっと私を残して消えてしまう。
「ねえ、悟」
「何?」
全ては等しく泡のように消えゆく定め。それに逆らう事は出来ないのだ。
しかし、この世界に存在する万物は、それでもこの"縛り"から逃れようともがき続ける。
「……私を置いていかないでね」
ぱちりと音を立てて、空色が見開かれた。
「いくわけないじゃん」
次の瞬間、私は彼の腕の中。彼らしくもない真剣な声色と、どくどく響く心臓の音が嬉しくて。
ああ、幸せだなぁ。まるで母に抱かれる幼子のような、穏やかで満たされた気分だった。
作者:色鳥
行かないでね?それとも、逝かないでね?
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葡萄ゆづゆ(プロフ) - ささまめ。さん» 時間的に私かな?と思ったので返信させていただきます。滅茶苦茶に嬉しいです、ありがとうございます。最上級のお褒めの言葉、創作者冥利に尽きます。本当にありがとうございます…… (2019年11月14日 20時) (レス) id: 167dee6e94 (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 最新話、題名とお話の内容、どちらとも何故か泣きかけました。いつも素晴らしい作品をありがとうございます。 (2019年11月12日 17時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - はるさめさん» そうなんですね すみませんご解答ありがとうございます 名前がどうだからこの作品を見ないっていう訳ではないのでこれからも読まさせてください 更新頑張って下さい 応援してます (2019年7月14日 23時) (レス) id: baa98cba69 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - ロゼさん» 他の作者さんについては本人の意向があるだろうし何も言えませんが、私自身短編を書く時はなんとなく名前を出さないように書いちゃいますね。ですが名前を出す際は名前変換を使おうと思っています!解答になっていなくてすみません。引き続きご愛読頂けると幸いです。 (2019年7月14日 19時) (レス) id: 965a17df9d (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - いつも良い話をありがとうございます すみません 質問なのですがこの作品は名前変換がない作品なのですか? (2019年7月14日 19時) (レス) id: baa98cba69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:呪術廻戦1周年をお祝いする人 x他2人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2019年5月12日 22時