【企画】あいをください【呪術廻戦】

缶ジュース一本分の友情/禪院真希 ページ11

ちゃりん、と申し訳程度の音を立てて黒い口に吸い込まれた50円硬貨。
ありがとうございます、という無味乾燥で儀礼的な感謝を受け取って隣を見ると、綺麗な顔を不快そうに歪めた友の姿があった。

「……偽善者か」

「酷くない？違うよ」

「じゃあ同情か」

「それも違うって」

弱者に同情するなんて死んでもごめんだと吐き捨てる真希。どうやら彼女は募金が、というか同情が嫌いらしい。

「真希、募金には対価があるんだよ」

「は？」

すたすたとアスファルトで舗装された道を歩きながら口を開いた。

「募金をする、つまり社会的、もしくは肉体的か精神的弱者に何かしらの施しを与える。
弱者は生活が助かって嬉しいし、自分は感謝されて嬉しい。言い換えると自己肯定感を得れて嬉しい」

募金の対価はそれだよ、自尊心と優越感。

私の持論に納得したようなしていないような顔で真希は私の意見を咀嚼する。

「まあ、言い換えるとね」

硬貨を数枚自販機へ投下。ガコン。落ちてきた清涼飲料水を真希に放る。

「この世にあるもの全てに対価が発生するって事だよ。ちなみにそれが私から真希への友情の対価」

すると真希はからからと夏空のように笑ってこう言った。

「はは、良いなそれ。消費期限はいつまでだ？」

「……そうだね、私が死ぬまでとか、どう？」

呪術師にとって、寿命が絡む約束ほど脆いものは無い。死は等しく私たちの隣にいるのだ。
それでも私は彼女の友人でいたい。せめて、私が生きている間だけでも。


作者:色鳥

にしても随分安い友情だな。
失礼な。物の価値はお金じゃないんだよ。
言ってること矛盾してね？
してないしてない。

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