※更新停止【SERVAMP】上を向いて歩いていたら、黒い狐に躓きました。 (ページ6)

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「目が合っただけで逃げるとかひどい！」ページ6

【これまでのあらすじ】
カラスに拉致られた猫を救出しようといあいあはすたぁ以下省略。

「＿＿さてと、私はこの犬が起きるまでここにいるつもりだけど、猫はどうする？」

「にゃ……にゃぁ」

「そっか。気をつけてね」

「街に戻る」という猫を手を振って見送る。
……あまりに自然過ぎて流してたけど、何故かあの猫に関しては言っていることがわかるんだよね。

波長ってやつ？
それが合ったのかもしれない。

「また、捕まったりしないといいけど」

溜息混じりにそう呟く。
すると、緊張が解けたのかドッと疲れが押し寄せてきた。
散歩中からの転倒、全力疾走、槍投げのコンボを決めたからかなぁ。

いや、間違いなくそれだ。

「結局、メロンパンも買えてないしなぁ……」

ぐるる、とお腹の奥で虫が鳴いた。
意識した途端にこれだ。辛い。
そういえば、とスマホの時計を確認すると時刻は午後の一時。
パン屋の近くを通りかかったのが十一時過ぎだったから……

「え、私ってば二時間もカラスのこと追いかけてたんだ」

そりゃお腹もすくわ。

切なさに二度目の溜息をこぼした。
そして、犬の様子に変わりがないことを確認してゴソゴソとパーカーについた大きなポケットを探る。

探し物はすぐに見つかった。

「昨日の残りのお稲荷さん。持ってきておいてよかった……」

過去の自分に感謝しつつ、取り出したタッパーを開いた。
ツヤツヤとした狐色が眩しい稲荷寿司が計六つ、タッパーに敷き詰められている。

私の母親は掃除とかの家事はダメダメだけど、料理の腕だけは自慢できる。

「それじゃ、イタダキマー……？」

視線を感じた。
キョロキョロと視線の元を辿ると、ぱっちりと目を開いている犬にかちあった。

「お、おはよう……？」

「！！？」

犬が盛大に後ずさりした。
『ズザザァ！！』と効果音がつきそうなほどに見事な後退だった。

「え、ちょ！？」

声を掛けるも気に留める様子もなく、犬は脱兎のごとく逃げ去ろうとした。

それを私は、

「まってよ！」

ガシィ、と首根っこを掴んで阻止するのだった。