悪魔が52人 ページ6
あっ、言ってみたのはいいが、歩きじゃねえ
『やっぱり、独りで帰ります
じゃあカルエゴ先生、さようならーー』
退出しようとすると、
カルエゴ先生が椅子から立ち上がり言った
「近くまでだからな」
『えっ！いっ、いえ！
別に独りで帰りますからッ』
「今の時間帯では危険だ。粛にしろ」
優しい！！けど、非常にマズイぞ！！
飛べないのがバレてしまう
俺は色んな策を考えるが
無理だバレる
かと言って先生も引き下がらなし
どうするどうする
そうだ！用事を思い出したと言えば！
『あの、用事を思い出したので』
「なんの用事だ」
なんの？そこまでは考えていなねえ
俺が返答に困っていると
「はぁ、ないのなら言うな
もう今更だ、送った方が早い。行くぞ」
カルエゴ先生の言う通り、既に校門の外まで来て
先生は黒く大きな羽を広げた
「早くしろ」
もう腹を括るしかねえ
『俺のッ
生まれつき羽が、小さくて飛べないんです』
身を守るための嘘だが、先生は黙って聞いてくれた
悪魔じゃねえこと、バレるか…
でも、本でも悪魔にも個体差がある
通じないワケじゃねえと思う
飛べねえ、先生にも迷惑かける
それにただ顔がいいだけ
此処では
いや、元の世界も怖がれるだけだ…
『俺は出来損ないなんですよ…』
自分を蔑むように言った
「……それを決めるのは、
そう評価するのは、お前ではない」
言われて顔をあげると、
カルエゴ先生は真っ直ぐに俺を射抜いていた
ああ、俺はやっぱり
真面目で
厳粛で
優しくて
俺を真っ直ぐに見つめる目
好きです、カルエゴ先生ーーー
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作者名：まっしろ | 作成日時：2021年2月6日 19時
