悪魔の世界にヴィランがトリップした 2 (ページ16)

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悪魔が62人ページ16

密室でドキドキしていると、

「泣きそうになる奴があるかッ」

そっぽ向いてハンカチを差し出してくれた

えっ、先生が……！
紳士…！好きです……！！

驚きと喜びで涙が引っ込んだ
ニヤける顔を隠して、
ハンカチの匂いを嗅ぐ俺は変態かもしれねえ

カルエゴ先生の匂い…！

先生と会ったショッピングモールの時に、
嗅いたコートを思い出して暫く現実逃避した

『ありがとうございます、洗って返します』

フンと鼻息一つ「一体、何事だ」と話を戻されたから
俺は先程の出来事を話した

『先程のクラスの会話で、

家族の事を思い出して少し悲しくなったんです』

「家族？貴様の両親は師団参観出来事ないのか？」

『いえ、出来事ないんじゃないんです…』

俺は少し応えるのに躊躇した
そんな俺に先生は焦れたいのか

「早く言え」

腹を括るしかねえか…

『…死んだんです…俺の…家族…』

先生は黙って聞いてくれた

『…だから…少し、寂しく思ったんです…

屋敷に帰っても、独りなので…』

家に帰っても誰もいなくって、
今の俺は油断したら泣いてしまうかもしれない

『だから、皆がいる学校に泊まりたくて…』

「はぁ、申請はおろか師団に入っとらんだろうか

全く、評価の機会を棒に振りやがって」

『……そうですよね。我儘言ってすみません…』

俺は帰ろうとしが

「待って」

先生が立ち上がり、俺の傍に近寄って来た

「貴様の事情は知らんが

独りで全て抱え込むな、俺や他の教員などに頼れ

相談相手ぐらいにはなれるだろう」

俺の頭を撫でながらそう言ってくれた

ああ、カルエゴ先生は本当に俺が欲しい言葉をくれる

『…っ！？あ、ありがとうございます…！』

ねぇ、父さん、母さん、空、爺ちゃん

もう少しだけ、此処にいさせてください

カルエゴ先生、

後少しだけ貴方の温かい手を感じさせてください

「はぁ、送っててやる」

えっ！？まさかのお誘いだ

『それなら、お言葉に甘えますね』

「早く、行くぞ」

先生はさっきに校門に行ってしまった

『…カルエゴ先生…大好きです…』ボソッ

カルエゴ先生には聞こえない声で小さく呟いた
はぁ、コレが素直に言えたならなァ

「……阿呆が」

カルエゴ先生は誰もいない廊下で呟いた事を
誰も知らない…