26曲目 ページ28
ナツメが急に口を開き顔を上げる。
「え？ナツメが来てくれるの？」
「ねえさんと一緒に居たいのはボクも一緒だかラ」
「夏目くん、今日すごく素直ですね」
青葉に「うるさいヨ」と睨みつけながらナツメは私の手を握る。
レイが少しニヤついた顔をしながらナツメの頭を撫でた。
「そうかそうか、逆先くんも甘えたい年頃なのじゃな」
「子供扱いしないでよネ、まぁ…Aねえさんと2人で話したいってのはあるケド」
「えー可愛いいいよ、ナツメ一緒に行こ行こ。図書室の地下？」
あまりにも素直に甘えてくれるナツメに姉心が揺れ口角があがる。２つ下のもう1人の弟みたいで甘やかしたくなる。
ナツメが私の腕を引っ張った。
「じゃ行こウ、Aねえさん」
「うん、行こっかナツメ」
「Aちゃん、逆先くん授業のこと忘れてないかい？」
「うるさいヨ老害」
天祥院に呼び止められナツメが冷たい目で天祥院にそう言うと天祥院のムッとした顔が見えた。
青葉もナツメに待ってくださいよ〜っと言うがレイがまぁまぁと2人を引き止めていた。
「Aねえさん！行こ行コ！」
「はいはい、行こうね〜ナツメ」
ナツメは普段大人っぽく振る舞うのに今は子供っぽく私を呼ぶ。
3人から離れたあとナツメは見たこともないくらい満面な笑顔で私を引っ張っていく。
「ナツメ、地下室久しぶりに行きたいから行っていい？」
「ウン、Aねえさんならいつでも歓迎だヨ。あと会わせたい子も居るってねえさんに言ってたよネ？その子にAねえさんも紹介したいからレッスンまで一緒に居ようヨ」
「うん、いいよ〜」
ナツメがキャッキャとはしゃぐのが嬉しくて可愛くて仕方ない。
会わせたい子ってのもナツメに元気を与えてくれた子なのだろう。
ナツメに引っ張られ引っ張られ、図書室に着くとナツメが地下の扉を開ける準備をしだす。
「懐かしいな、ここ」
「ねえさんいつでも来ていいの二。はい開いたヨ」
「あ、ありがとう」
扉が開くと懐かしい薬品の匂い。
ナツメの実験のフラスコを見て懐かしさが倍増する。
どうゾとナツメが奥のソファにブランケットも用意してくれていた。
「ねえさんいつまでも寝てていいからネ」
「ぐっすり寝さしてもらうよ。でも私と話したいんじゃなかったっけ？」
「…話したいけど先にねえさんには休んでもらいたいかラ」
そう言うとナツメは私の髪の毛をそっと触った。
子供っぽいと思ったけどこの時のナツメは少し大人っぽい笑みを浮かべていた。
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作者名：ルナ | 作成日時：2022年4月16日 6時
