Queen【天祥院英智】 (ページ22)

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20曲目ページ22

「Aはもうピアノは弾かないのかえ？」
「あーピアノどうしようかな」

アイドルもピアノも中途半端に終わらせてしまった。でもアイドルはもう1回憎いやつがいるfineでアイドルとして活動が出来る。
気づかなかったけどここは3年B組の教室。
レオのであろう書きかけの楽譜を手に取って微笑むと嫌な記憶がフラッシュバックする。

「っ…」
「A？」

『月永凄いな！難しい曲なのに完璧じゃないか！』
『Aちゃんすごい！Aちゃん本当になんでも出来るんだね！』

キャッキャと褒めてくれるセンセイとピアノ教室のクラスメイトの声が頭に響く

ズキンズキン

頭が痛いレイの顔も霞んでいく痛い

ピアノ

ピアノ

ピアノ

『お母さんもお父さんも！！レオもルカも大嫌いッ！！』

皿が割れる音

家族の悲しい顔

皿の破片で切れた足

ピアノはピアノは

「A、大丈夫か？深呼吸しろ」
「レ…」

気がつけば私は保健室に居た。
涙で顔はぐちゃぐちゃで袖がずぶ濡れ。
倒れちゃったんだって気づくとため息が漏れる。

「レイには申し訳ないな…」
「急にAちゃんが運ばれてきてびっくりしたよ。どうしたんだい？」
「…」

ベッドの脇に座り私を見つめる目。

「なんで嫌な記憶蘇った後に見た顔が天祥院なんだよ最悪」
「だいぶ元気みたいだね」
「まぁ…あれ？天祥院だけ？」

キョロキョロと見回すけれど天祥院しか居ない。
多分レイが運んでくれたんだと思うけれど

「…」
「天祥院、レイは？」
「朔間くんは知らないよ？保健室に来てないけど」
「えっ？」

確かにあの時には私とレイしか居なかったはずなんだけどな…
天祥院はキョトンとしたような顔で私を見ている

「じゃ、誰が運んでくれたの？」
「それは…」

「すごく血相変えて怒ってた月永くんだよ」

「レオ？」

『レイ、Aなんで苦しがってたんだよ』
『ピアノのことは地雷じゃったか』
『Aにピアノのこと聞かないでって言っただろ！』

黒髪とオレンジ髪が教室でぶつかっていた。