16曲目 ページ18
「じゃ、今日は終わり」
「はぁーやっと終わったーー！！」
「坊ちゃまはしたないですよ」
レッスンが終わり疲れ果てて床に寝転ぶトウリ、それをよっしょと抱き上げるユヅル。
「じゃ、トウリ、ユヅルは先に帰りな？」
「え？片付けしなくていいの？」
「トウリはまだ小さいから早く帰ってご飯食べておねんねしなぁ？」
「うわっ、腹立つ！」
「ではお言葉に甘えて。行きますよ坊ちゃま」
「まて弓弦！おろせ〜！！」
バタバタ暴れるトウリを担いでユヅルは出ていった。
残ったのは片付けをるんるんとするワタルと端っこでタオルを頭にのせ座っている天祥院と私。
天祥院……かなりしんどかったみたいだね。
「ふふん♪それでは私は用事があるのでお先に失礼しますね？英智、大丈夫ですか？」
「うん……大丈夫だよ渉」
「まぁAも居るので大丈夫ですね。ではA、英智、また」
「あ、うんありがとうワタル。またね」
ワタルも片しを終え部屋を出ていきレッスン室には天祥院と2人きり。未だに端っこで座っている天祥院。
「天祥院生きてる〜？」
「……」
「はい、スポドリ置いとくからちゃんと飲んどきなよ？」
「Aちゃんは何処に……？」
「ん？終わったらKnightsのとこに行く約束してる」
「……そっか」
じゃと言ってファイルを持って出ていこうとしたらスカートの裾がクンっと引っ張られた。
弱々しい声が聞こえる。
「……Aちゃんもうちょっとここに居て」
顔はこっちを見ていないが裾はしっかりと掴んでいる。
「なに？天祥院」
「……やっぱりなんでもない」
「あっそ、私レオんとこ行ってくるから離して」
そう言うと天祥院はすっと手を離して解放される。
やっぱりまだしんどいのか天祥院の顔は少し赤かった。
「……保健室までは送ってあげるから立ちな」
「いいよ」
「良くないでしょしんどいでしょきっと。わざとハードレッスンにしたもん」
「大丈夫だって」
「やっと顔上げた」
目が合った天祥院は一瞬固まってため息を付きながら手を取って立ち上がった。
「はい、天祥院くんちゃんとおてて繋ぎましょうねー？」
「Aちゃん僕のこと子供扱いしないで」
「えー？私のほうがお姉さんだもん天祥院は子ども子どもー」
「はぁ、キミは理解が出来ないよ。僕のこと大っ嫌い言ってたのに世話焼いてくれるんだね」
「さすがに病人は見過ごせないからね」
「……素直じゃないね」
「黙れ天祥院」
天祥院の手を少し強めに握って保健室へと送った
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作者名：ルナ | 作成日時：2022年4月16日 6時
