十三歩 ページ13
誰もいない職員室に、
一人の男がドアを開けて中に入る。
背の高い男だ。
外は暗い。
辺りは闇につつまれていた。
寮の方はチラホラと灯りがついているが、
その光がこちらに届くことはない。
とにかく中は暗い。
外から見たら、誰もいないように見えるだろう。
しかし、男は電気をつけないまま、
スタスタと歩くと、
ある机の前でピタリと足を止める。
書類が綺麗に揃えられた机。
家族が写った写真立て、
娘から貰ったのか可愛らしい置物などが置いてあった。
だが、男はそれに目もくれず、
置いてある一つのファイルを手に取ると、
ペラリとページをめくっていく。
「…ふ」
男が何かを見つめて、微笑む。
そっと、壊れ物を扱うように、
その文字を優しく撫でた。
「みぃつけた」
━━━━
━━
━
『へっ、へっくしょいっ…!!』
ずるずると鼻をすする。
誰か俺の噂でもしているのだろうか…。
風邪じゃないだろうな。
風邪だったら嫌だな…。
そう思いながら、カバンを手に取ると会社から出る。
『ふぃー…寒いなぁ』
最近、だんだん寒くなってきた。
雪はいつ降るのだろうか。
雪かきとかめんどくさいな。
俺は冷え性ですぐに冷たくなる指先を
息で温めながら小走りで家に向かう。
『…?』
何かを感じてピタリと足を止め、
ゆっくり後ろを振り返る。
真っ暗な道。
ポツポツと間隔を開けて設置された街灯は、
古いものなのか、チカチカと不規則については
消えてを繰り返している。
そこに、人影と微かな気配を感じた気がした。
『…気のせいか』
誰もいない。
高専で培った自分の警戒範囲内に、
何かがいた気がしたが、どうやら気の所為らしい。
あるのはただ闇だけ。
静まり返った深く暗い闇。
俺はじぃとそこを見つめてから、また走り出す。
帰ったら、コタツを出そう。
そうして、冷えきった手足を温めて、
ゆっくり穏やかに眠りにつこう。
今までの災難を忘れるように。
「見つけた」
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理 - 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時