検索窓
今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:760,817 hit

十三歩 ページ13

誰もいない職員室に、
一人の男がドアを開けて中に入る。



背の高い男だ。



外は暗い。
辺りは闇につつまれていた。
寮の方はチラホラと灯りがついているが、
その光がこちらに届くことはない。



とにかく中は暗い。
外から見たら、誰もいないように見えるだろう。



しかし、男は電気をつけないまま、
スタスタと歩くと、
ある机の前でピタリと足を止める。



書類が綺麗に揃えられた机。



家族が写った写真立て、
娘から貰ったのか可愛らしい置物などが置いてあった。



だが、男はそれに目もくれず、
置いてある一つのファイルを手に取ると、
ペラリとページをめくっていく。






「…ふ」





男が何かを見つめて、微笑む。


そっと、壊れ物を扱うように、
その文字を優しく撫でた。









「みぃつけた」









━━━━
━━





『へっ、へっくしょいっ…!!』




ずるずると鼻をすする。

誰か俺の噂でもしているのだろうか…。
風邪じゃないだろうな。

風邪だったら嫌だな…。

そう思いながら、カバンを手に取ると会社から出る。



『ふぃー…寒いなぁ』



最近、だんだん寒くなってきた。

雪はいつ降るのだろうか。
雪かきとかめんどくさいな。

俺は冷え性ですぐに冷たくなる指先を
息で温めながら小走りで家に向かう。



『…?』



何かを感じてピタリと足を止め、
ゆっくり後ろを振り返る。


真っ暗な道。


ポツポツと間隔を開けて設置された街灯は、
古いものなのか、チカチカと不規則については
消えてを繰り返している。


そこに、人影と微かな気配を感じた気がした。




『…気のせいか』




誰もいない。



高専で培った自分の警戒範囲内に、
何かがいた気がしたが、どうやら気の所為らしい。



あるのはただ闇だけ。



静まり返った深く暗い闇。



俺はじぃとそこを見つめてから、また走り出す。





帰ったら、コタツを出そう。

そうして、冷えきった手足を温めて、
ゆっくり穏やかに眠りにつこう。



今までの災難を忘れるように。









「見つけた」

十四歩→←十二歩



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1336 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3506人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 男主 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。