人殺し ページ10
「何が…何が安い犠牲だ。アンタのやってる事は四宮家を強くする事でも何でもない!!唯の人殺しに変わりないでしょうが!!」
「俺よりも先に家族を殺した奴に言われるとは世も末だなぁ」
「は?」
私が家族を殺した?
この男は何を言っている?私にそんな記憶はない。
「デタラメを!」
「事実だろう?自身の呪力によって増強された異が、母親と曾祖母を喰っただろうが」
「違う、あれは、私のせいじゃ」
「言い逃れる気か?」
思わず罪の意識が芽生え思考が停止する。
「お前は俺が弟にしたように即死させなかったな。飽くまで呪力を喰っただけで身体的致命傷はあたえなかった」
実体のない異が人間の呪力だけを取り込むようにして喰ったとして、身体はきっとそのままだ。呪力を喰われた人間がどうなるか。私は知っている。1度だけその瞬間を見たから。
「あ、あ、あ」
「…お前は俺がどうしてこんな醜い姿になったのか知らないのか?」
生憎、異は不完全で実体が無かった。だから同じく実体のない呪力しか喰う事ができなかった。そうすれば2人の身体はどうなると思う?
あの時、母と曾祖母の肉体は。
「焼け焦げた肉塊になっていたなぁ!!それでも意識はあった!!必死に母親はお前の名を呼んでいたなぁ!!」
ゾワッと記憶が思い出されて、耳を塞いだ。
「A、Aッ、!!ごめんね…」
「゛四宮……A゛………お前は、お前だけは、の゛ろ゛っ゛でや゛る゛」
「可哀想なA。なんて可哀想なA。この世で最も不憫な少女。
……でも大丈夫よ?
私が、、私だけが…貴方の味方」
嫌な記憶だ。思い出したとしてもいいものじゃない。
謝った声は母。私を呪ったのが曾祖母。私に甘く囁いたのが異。
目を閉じればあの時の情景が鮮明に映し出される。
「違うの。私は、殺したくて殺したんじゃない」
そう言えば兄は鼻で笑った。
「そんな事で罪が消えるなら、一族はこんな事にならないし俺もこんな状態にならないなぁ」
笑いながら1歩、1歩と近付く兄は不敵な笑みをまた浮かべた。
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数学(プロフ) - ぽんさん» ご指摘有難う御座います。先程外させて頂きました。気付いていなかったとはいえ、ぽんさん及び他の読者様に迷惑をかけてしまいました事、大変恐縮に思っております。 (2021年2月28日 14時) (レス) id: 854f7b158c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:数学 | 作成日時:2021年2月28日 12時