居酒屋で会った飲み仲間【五条悟】 (ページ3)

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解決策ページ3

呆然となっていた彼を置いて、歩を進める。東京行きの電車に乗り、これ迄10年以上掛けなかった電話番号をタップした。

｢……誰だ｣

｢私よ『次兄さん』｣

その言葉に向こうは、はっと息を飲んだ音がする。

｢今日の昼、そっちに向かうから。長兄にもそう言っといてよ｣

｢……何が目的だ｣

｢何って、もう分かってんでしょ？式神を通して見てたんでしょうが｣

本当は私だってこんな事したくないわ。と言い、相手の電話を切った。

思い出した事で幾つかの不審な点が少しづつ繋がっていく。
なぜ五条君が私に近付いたのか。
これは私の中にある『異』による、呪霊のパワーアップを止める為だろう。
『異』は私の呪力を使って、私に取り憑いた時から呪霊の力をパワーアップさせていた。
顕著に表れたのは私がある程度呪力に耐えられる様になったここ数年だろうが。
兎に角、私の呪力を喰らい私が術式を使う為の呪力を常に残していなかった。
そして百々目鬼も私の体に取り憑いているから、身体を守る為に無意識的に私は術式展開を避けていた。
それが、私が今迄術式を使えなかった理由。

実感は無いが、私の体は大分食い潰されているのだろう。
憑いている人間の呪力を使おうと思えばある程度『異』の呪力も私の体内に入る。
百々目鬼の瞳が浮き出ているという事は、百々目鬼の呪力もかなり体内に入っている。
『異』と百々目鬼と私自身の呪力が私の体内に混在している。
残念ながら特級呪霊の呪力を2体も体に取り込んで無事な程私は特別な人間ではない。
3つの異なる呪力は何れ私を内側から壊す。その時、私の精神は潰れる。
そうすれば百々目鬼か『異』が私の体の主導権を握る。
しかし百々目鬼は自分の本体を守る為に式神を生成している。つまり百々目鬼の呪力は本来の半分程だろう。
その状態で私の体の主導権は握れない。
必然的に『異』が私の体の主導権を握る。
その前に手を打つ。

私自身を封印してしまえばいい。
そうすると、百々目鬼と『異』も共に封印される。
しかし百々目鬼には本体が残っている。私が封印された後でも式神を伝って、私の体を抜け出せる。
しかし『異』はとうの昔に実体など残っていない。体外に出ても実体を保てず、数時間で消滅するだろう。

コレは完全に私の自己犠牲による作戦であるし、四宮家が私の言う通りに封印してくれるかも分からない。
もし、四宮の人間が私を封印するのではなく、殺してしまうと百々目鬼も諸共死んでしまう。其れだけは避けたい。