12匹のもちころ [ヒプノシスマイク]

せんせ！ ページ27

「うん、まずはね、朝起きたらご飯を食べるでしょう？その後にして欲しい事ね。まず、1つ目。歯磨き。」


「はみがきですか。たいせつですね。」


と、寂雷さんが相槌をうつ。


「おー？なんで、はみがき？が、たいせつなんだー？せんせ！」


「ふふ、ひふみくん。それはね、……そーだな、たとえば、ひふみくんがかぜをひーたとする。それは……ほーっておく、と、いうか……あんせーにしていればしぜんとなおるものだろう？」


「そっすね！おれっちあんまかぜひかないけど！」


「しかし……はをみがかないと、むしばになるんだ。はの、びょうきだね。……やっかいなことに、むしばはほーっておいてもなおらないんだ。」


「ええーっ！？やべー！！もし、むしばになっちゃったらどーすんの！？」


「はいしゃ、とゆーところにいくんだ。そこにいけばむしばをなおしてもらえる、が…………。はを、けずるんだ。つまり、いたいめにあわなくてはいけない。」


一斉に、あたりがざわつく。


ちっちゃなおててで口元を抑えて、「たいへんだ……！」「いたいのやだ……。」と、それぞれ言っている。


寂雷さんは、医師だからなぁ。


こういう説明をしてくれて、すごく助かる。


「……だから、歯磨きをするんだよ。綺麗に、隅々まで丁寧に磨けば大丈夫！ね？寂雷さん。」


寂雷さんはにこりと微笑んで。


「うん。Aさんのゆーとーりだ。よっぽどざつにみがかないかぎり、むしばはめったにできないよ。」


その言葉を聞き、みんな安心したようで、口元から手を離した。


……でも、歯磨きと言っても……肝心な歯ブラシが私のしかないんだよね。


買い置きは……まぁ、ふたつあるけど……かためだから、もちたちの繊細で柔らかそうな、まるで乳歯のような歯を傷つけないか心配なんだよね……。


と、考えていると。


「てかー、Aちゃんってせんせーのことじゃくらいさんってよぶんだな！せんせ、ってよばないの？」


と、一二三君に言われた。


……せ、先生？


ちょっと……恥ずかしいかも。


先生、としてまだ対応されたことないから……。


と。


「Aさんは、どちらでもいいよ。すきなようによべばいいです。」


……。


これは……試されているのか……？


なんか、皆の目が期待で溢れてる気がするし……。


……1回だけ。おためし。


「……じゃあ、せんせ。」


すると寂雷さんは頬を染め、嬉しそうに、


「……はい。」


と、応えた。

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