おもちゃ箱【×ym】 (ページ34)

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「佐木…って、あの眼鏡の、？」

小さく頷くと、島津はおっきなため息をついた。

「はぁ…、やっぱり付き合ってたのかぁ」

「ん…？やっぱりって、なんで？」

「だって、俺を見た時の目。マジだったから。」

「え」

佐木が？

佐木って、基本的に感情を顕にすることがなくて。
嬉しいときとかは笑顔になるけど、怒ってる時なんかは顔に出ないから。

……嫉妬なんてしてないんだと思ってた。

あいつも嫉妬してくれてたのかな。
俺、愛されてるって思っていいのかな。

頬が緩んで、佐木に会いたくなって。

ドアを飛び出そうとすると、

「…金田一、幸せそうだな。」

「ふふ…うん、幸せ。」

「あーあ、まあ、俺は金田一のことこんなに幸せにはさせてやれなかったもんなぁ。」

佐木の所へ向かおうとしていた足が止まる。

「…島津、それは違うよ。」

「ん？」

「……俺は、島津と付き合ってた時も幸せだった。」

「…金田一…。」

「じゃあな、島津。次会った時は…友達だから。」

今度こそ、手を振って俺は元恋人にさよならを告げた。