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「島津…、話って?」
中学校の校舎に呼び出された俺は、目の前でずっと口を噤んでいる島津に痺れを切らした。
「あのさ、金田一…。」
キシ…
床板も古くなってきているのか、島津が1歩進むたびにキシキシと音を立てる。
「なに…、」
1歩1歩、こちらに近づいてくる島津から距離を取ろうと俺も1歩ずつ後ろに下がる。
でも、すぐに壁に当たった。
「なぁ、金田一…。…俺ら、ヨリ戻さないか?」
「……は?」
掠れた声が漏れる。
なに、言ってんの…。
「冗談やめろよ、島津…。おまえから、振ったんじゃねえか」
頭の横に島津の手が置かれて、俺は身動きが取れなくなってしまった。
「あのときはまだ子供すぎたんだ…。今なら分かるよ。金田一、俺、やっぱりおまえしか好きになれないよ」
どくん…
ああ、この真剣な瞳。
俺の好きだった島津だ…。
徐々に島津の顔が近づいてきて、でも。
俺は顔を逸らした。
「……っなんで、なんでだめなの…?金田一…!!」
泣きそうな声で肩を揺さぶられて。
「……っ!!もう、俺とおまえは終わったんだよ!」
「違う!!終わってなんかない!しばらく離れてたから分からないだけで…っ!!」
ぐっと腕の中に引き込まれて。
逃げようとしない自分に嫌気がさす。
「金田一……、逃げんないでよ…!」
「…っ、…だめ、島津!」
それでもやっぱり、俺の頭の中に浮かぶのは島津じゃないから。
「俺、佐木んとこ行かなきゃ…。」
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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時