知りたい(arym) ページ32
金田一パロ
・
「金田一?」
雪影村に旅行しに行った時、先輩にそう話しかけた島津って男の人。
彼を見た瞬間の先輩の顔がパッと明るくなったのに気づいた。
……もしかして、先輩…。
ざわざわと心が嫌な音を立てる。
「島津、久しぶり!」
ポンっと肩を叩いて、笑いあって。
あんなふうに気軽に触れ合えるのが羨ましい。
先輩と同級生だったら、よかったのに……。
俯いていた顔を少しあげると、先輩の肩越しに島津さんがニヤリと笑ったのが見えた。
_______________
雪影村に来てからの先輩は、なんだかいつもの先輩じゃなくて。
夜中、隣の布団を覗くとそこには先輩はいなかった。
縁側に座る先輩の後ろ姿はとても寂しそうで、胸が詰まった。
こんな時になんにも言えない僕は、先輩の恋人と言えるのかな。
ピロン…ッ
スマホが光り、開いた先輩が一言。
「……島津。」
どくん。
ざわつく胸を抑えて、寝てるふりをして聞き耳を立てる。
でも先輩はそれ以上なにも言うことはなくて、隣の布団まで戻ってきていた。
「………佐木…。」
ちゅ…っ
名前が呟かれて、唇に柔らかいものがあたって。
先輩の唇だ、って気づくのにそう時間はかからなかった。
やっぱり、僕と先輩は同じ気持ちなんですね。
よかった……。
そう、思ったのに。
「…佐木、ごめんな…………。」
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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時