おもちゃ箱【×ym】 (ページ19)

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「…恥ずかしいとこ見せちゃったね。今の内緒にしとけよ、雄也には！！」

ビシッと指を指されて、思わず少し仰け反った。

「言わねえよ」

そう言うと、寂しそうに微笑んで、また膝を抱え俯いてしまう。

「…先、帰ってていいよ。……俺、心配されるほど弱くないし……。」

くぐもった声が聞こえるけど、無視。

「帰んないよ。そんな顔見せられて帰るほど俺、性根腐ってねえから」

ぽんぽん、と頭を撫でてやると

ポタ…ッ

彼の座っている地面に、またひとつ水滴が零れた。

…俺は気づかない振りをして、ずっと頭を撫でていた。

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「ありがとう、そばにいてくれて」

泣いて目の端が赤くなった涼介がぽつ、と呟く。

「お礼、言えるんだ」

驚いてそう言うと、ギロリと睨まれた。

「あたりまえだろ、おまえ俺のことなんだと思ってんの」

「そんな怒んなって～、綺麗な顔が崩れてんぞ～」

ぽんぽん、とさっきのように頭を叩いてやると、急に黙ってしまって。

「…？どした、涼介…ッいて！！」

顔を覗き込んだ瞬間に食らったビンタ。

そんなに痛くはないけど、不意打ちだとやっぱりちょっとヒリヒリする。

「いった！なにすんだよ！」

「な、名前で呼ぶな！ばか！！」

「は、はあ？！俺、おまえのこと名前しか知らねえもん！！」

そう言うと、途端にむう、と押し黙る。

「ほら、涼介。帰るぞ」

そっと手を差し伸べて、立ち上がらせて。

帰ろうと、歩きだそうとした時。

涼介に呼び止められた。

「……あのさ……

さっき、あんたが恋人だったら奪ってやろうって思ってたって言ったじゃん。」

「ああ、うん、言ってたな。」

俺が頷くと、スッキリした笑顔の涼介はこう言った。

「あれ、……無理だったかも！」

「は？どゆこと？」

「教えないよーだ、ばぁか。早く帰ろう！」

意味が分からない俺を置いて、さっさと歩いていってしまう涼介。

おまえが泣いてるからずっとそばにいてやったのに、

やっぱり我儘なやつだ！

……だけど、そんな我儘に振り回されるのも悪くないな、なんて思い始めた、夏の終わり。

宣戦布告 fin.