おもちゃ箱【×ym】 (ページ16)

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誰もいない静かな河川敷。

隣に座る涼介は膝を抱えて、黙り込んでいる。

さっきまでとは違う、しおらしい姿に心配になって思わず声をかけた。

「なあ、大丈夫か？」

「……。」

無視。

俺の優しい慰めの言葉を無視。

…なんだこいつ、誰のおかげで怒られなかったと…！

「大丈夫なら、俺、もう帰るけど。」

「……。」

…それも無視。

なんだか腹が立ってきた。

おまえが髙木のこと好きなのはわかるけどさ

勘違いでちんちくりん呼ばわりされて！

助けてやったのに無視されて！

そんな我儘じゃ、男子校の一輪の薔薇って呼ばれる、いのちゃんに敵うわけないだろ！

「もう帰るから。おまえも早く帰れよ」

ぶっきらぼうにそれだけ言って、俺はそのまま家に帰った。

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風呂からあがって、ベッドに寝転がる。

あいつ、ちゃんと帰ったのかな。

…って、…なんで、俺があんな我儘ヤロー気にしなきゃなんねえんだ！！

ごろり、寝返りを何度もうっても頭の中に浮かぶのは

さっきの、悲しそうに膝を抱えて座る涼介。

……もう帰ってるに決まってる。

だけど、見るだけ。

いないって、確認するだけだから…。

そう自分に言い訳をして、家を出た。