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「ほら、誰もいない……。」




走って、河川敷まで来たけどそこにはもう誰もいなかった。



ただ、虫の鳴く声と…


グス…ッ、ヒック…ッ



…誰かのすすり泣く声。



誰か、って言ったって、あいつだとは限らない。




……だけど、どうしても気になってしまって。







「……やっぱり。」

「…っ!!」




俺の声に驚いて顔をあげた涼介は、夕方見た綺麗な顔じゃなくなっていた。



顔は涙と鼻水でグシャグシャで。

服なんて、泣いたのを拭ったのか、はたまたグシャリと握りしめたのか分からないが、シワだらけ。



「……隣、座っていいか?」


小さく尋ねると、こくん、と頷く。




……なんだ、さっきより素直じゃん。




隣に腰掛けて、しばらく何も言わずに座っていると…、



「俺、好きだったの…、雄也のこと…。」



ポツリ、ポツリ、と自分のことを話し始めてくれた。

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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時

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