今度は指にして？【arym】 (ページ14)

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有岡side

山「ああロミオ様、なぜあなたはロミオ様でいらっしゃいますの？家名を捨てて私を愛するとお誓になって」

淡々と読み進めていく山田

有「お言葉通りにいたしましょう。ただ一言僕を恋人と呼んでください。そうすれば、新しく生まれ変わり今日からはもうロミオではなくなります」

読み終えて、山田と顔を見合わせる

山「な、なんか違うね........。ごめん、俺演技下手だから........」
有「ううん、仕方ないよ。俺もめっちゃ下手だし........、ちょっと練習してくるからまたやってもらってもいい？」
山「うん！全然へーきだよ！」

翌日

昼休み、机に向かっている俺に知念が近寄ってくる

知「大ちゃん～、何読んでんの？台本？真面目だねえ」
有「ああ、知念に迷惑かけられないし……」

知念はふふっと笑って
知「じゃあ頑張ってる大ちゃんに、朗報ね？図書室に、演技についての本があるんだって、それがめっちゃ詳しく書かれてるらしくてさ」

知「今日の昼休みに借りとかないと借りられちゃうかもね？」

と言われた言葉を真に受け、図書室に来た俺

ガラッ

んー、どこだぁ？

と、本棚の間を歩いていくと見覚えのある後ろ姿

山「ラブシーンに感情を込める時は、好きな相手を想うとうまくいく……か。なるほど、大ちゃんに教えてあげよう！」

本を横に積み上げて一冊の本を読んでぶつぶつ呟いている山田

横に積み上げられた本は俺らの劇の原作ロミオとジュリエット、演劇についての本が数冊

山田はそれらの本を真剣に1ページ1ページめくっていた

山田……、俺が昨日あんな軽く頼んだのにこんなに真剣に悩んでくれるなんて

きゅう、と胸が苦しくなる

一生懸命に俺のことを思って行動してくれる山田になんだかわからない気持ちが湧いてくる

俺はまだこの気持ちの正体を知らないーーーー……

放課後

山「だーいちゃん、俺、ラブシーンのやり方分かったよ！！好きな人を思い浮かべるとうまくいくんだって！知念のことを思い浮かべたらいいんじゃないっ！？」

自信満々に目を輝かせながら俺に伝えてくる山田

昼休み図書室で本で読んだことをそのまま自分のアドバイスとして伝えてくる山田を可愛いと思ってしまった

いつの間にか笑っていたのか分からないが顔がにやけてしまっていたのかもしれない
山「ねえ、大ちゃんたら！真剣に聞いてよ！」

そのあと山田に顔を真っ赤にさせながら、怒られてしまった笑