今度は指にして？【arym】 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:86 hit、合計:111,195 hit

プロローグページ1

山田side

12年前に出会った男の子

公園で、いじめられていた俺を助けてくれた

「ほんとに男かよ！！！」
「女みてえな顔してんな、おまえ！」

げらげらと俺の周りに集まって、俺の服をグイッと引っ張る野蛮な奴ら

山「おっ.......男だも.......んっ！」

そう言って睨んでみるけど、自分でも分かるほどに涙目で効果はなし

人より小さくて、顔も女顔でよくいじめられていた俺

この日もそう

日常茶飯事で、どうせ誰も助けてくれない

そう思っていた、そのとき

「やめろよっ！！」

君が俺を守ってくれた

見ず知らずの俺を

俺と身長なんて変わらないはずなのに、その男の子の背中はとても大きく見えた

「大丈夫だった？」

そう言って振り返った男の子

髪は綺麗な黒髪で、凛とした瞳

俺を覗き込む優しくて眩しい笑顔

そのうえ、勇気があって、守ってくれるなんて.......。

子供だったけど、あのとき確かに俺は恋をしてしまったんだ

「ねえ、君ここら辺に住んでるの？」
山「うん、すぐそこに住んでるよ」
「ね！よかったら俺と遊ばない？「大貴ーー？」あっ！お母さんだ」

やべって顔したあと、大貴と呼ばれた彼は

「ごめん！また今度遊ぼう？約束ね！指切りの代わりにこれ持ってて！！」

そう言って手渡された綺麗なおもちゃの指輪

有「このまえ、ゲームセンターでとれたやつなんだ！君に似合うから持ってて？それで、今度会った時それを目印に会おう？」

少し照れたように鼻の下をこすって俺を見る大貴くん

またねって振られた手に
山「ばいばい、またね」
と手を振り返す

でも、彼と会えたのはそれっきりだった

そのあと何度公園に行っても君には出会えなかった

引っ越したと、知ったのはずいぶんあとになってからだった

だけど、今も俺はあの指輪を持っている

高校生になってまで、おもちゃの指輪を付けてるなんてばからしいかもしれないけど

友達のいなかった俺にとって、初めての約束だったから。

子どもの口約束だったけど.......

初恋の人からの贈り物だったから.......