太宰(妹)に恋した中原幹部。【文スト】

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執務室を飛び出して、何事かと驚く構成員達など気に留めず、通信保管所へ走った。


パソコンに“太宰A”と打つ。


あのAが太宰の妹…？あの場に太宰は居らず姐さんと俺とあいつだけだった。


過去を振り返ってもあいつと逢ったのはあれ1回きり。


あいつは何をしていたんだ？


「……嘘だろ…」


びっしりと記録されたAの情報。参謀 太宰A。作戦立案以外は殆ど暗殺の記録だった。


首領があいつにご執心なのも凡て納得がいった。


Aは“正式”にマフィアを辞めている。


若くして幹部の座につき、怨みを買うのは日常茶飯事で、そして4年後、敵対組織として現れた太宰。


参謀の地位につきこそはしたが、あいつの顔どころか名を殆どの者が知らず、知る暇もなくマフィアを辞めたA。


Aが戻って来たとしても怨む者は居らず、持ち前の頭脳と身体能力で以前より高い地位につく事ができる__


考えてみればそりゃそうだ。太宰だけが血塗られた世界で生きてその妹が平和に生きてましただなんて話、ある訳がない。


あいつが人を殺していた。


__俺も同じだ。兎や角云える立場じゃねェ。


俺が好きなのは今のあいつ？


__違う。過去だって何だって受け入れられる。


だから__


「ちっ…何だよ糞太宰。」


「云っておきたい事があってね。Aは恋愛というものをわかっていない。」


その言葉に戸惑う俺を楽しむ様に


「精々頑張り給え。」


太宰はそう云った。

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