夜の水晶【文スト】【実況者】 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:6,818 hit

幕間壱ページ8

誰も居なくなった会議室。

大きな木箱。

歪んだ白板。

乱れた椅子の列。

そこに何も知らないとでも言うように、悠然と立つ1人の女性。

「……ふぁぁぁああぁぁぁ。」

大きな欠伸をして少し背伸びをしてみる。

「……予定より早く終わっちゃった……暇だなぁ。」

突然、馬鹿みたいに明るい音楽が鳴り響いた。

彼女も驚いた様で慌てふためいている。
頬はほんのり赤く染まっている。

「あわわわわっ……もっ、もしもひっ！」

『……ほんとさ。電話鳴ると慌てる癖辞めない？最初の「もしも」まで良かったのに。いつも噛んでるでしょう。』

「ごっごめんなさいぃ……」

『……まぁ別にいいけど。それより』

電話越しの「男」は一息入れて、こう述べた。

『〝ソーラ〟は仕事終わった？』

「……はい。滞り無く。」

〝ソーラ〟と言う言葉に彼女はまるで(自分の名前かの様に)反応した。

『携帯機器は使えないのに、任務はしっかりやるのねほんと。嫌いじゃないよ。』

「ふふふ……ありがと。」

〝ソーラ〟はにこりと笑う。

『〝バステンさん〟の方もそろそろ終わるって。』

「なら私は次の持ち場へ行った方がいい？」

『うん。お願い。』

「御意。」

『あ、今日の晩御飯は？』

「鮭でぇ〜す。」

『え、まじ？ちょっ楽しみにしてるわ。』

「ふふふ。ありがと。」

無機質な音が部屋に響く。

彼女の……花子の……ソーラの首元の金剛石は桃色に輝いていた。