夜の水晶【文スト】【実況者】 (ページ7)

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偽りの鳥籠ページ7

3人は事務所を通り抜け、鉄の引き戸を開け、小さい会議室へと入っていく。木製の椅子に小さな机が所狭しと並んだ会議室。

谷崎が近くの椅子に腰掛けた。

「先ず、届けられた爆弾は何処にありますか？」

一番の疑問をぶつける。まずは爆弾を片付けない事には何も始まらない。

「……」

花子は答えなかった。

(……おかしい……。)

何故答えない？
普通なら直ぐに爆弾の在り処を話す筈。
それなのに

「貴女は、何故、そんなにも、余裕なのです？」

花子は笑っていた。

「……うふふふ……。やだなぁ敦さん。動揺しすぎですよ……。」

「……貴女が此処へ私達を連れて来た目的は？」

「何を言っているのですナオミさん？私は爆弾の差出人を……」

「その爆弾は何処です？」

谷崎は間髪入れずにそう答えた。
会議室の空気は先程の和やかな空気が嘘だったかの様に張り詰めていた。

「……そこまで言うのなら。」

何の前触れも無く花子は立ち上がった。

「！？何処へ行く！？」

谷崎は叫ぶ。

「何処へって……爆弾の在り処ですけど。」

会議室の奥にある白板の前に彼女は立った。

振り返った彼女の瞳は先程よりも冷ややかで。

悪寒が走る。目眩がする。

なのに、逸らすことが、出来ない。

「……爆弾はね。」

花子は白板を思い切り蹴飛ばした。
耳障りな音を立てて白板が倒れる。

白板の影だった場所に大きな箱が現れた。

(……箱？)

「ええ。爆弾です。爆弾です。……ふふふ」

密やかに暗唱をしている花子を横目に、3人は呆気にとられた。

どこからどう見ても茶色い木箱だ。
大振りな鎖が何かを封印する様に、何かを押さえ付けるように木箱に巻かれている。

「これが……爆弾？」

「ええ、爆弾ですとも。」

軽やかで楽しそうな声が響いた。

突如、木箱の蓋が開き得体の知れない(何か)が彼等を襲うように飛び掛ってきた。
虎の目を持つ敦は一瞬早く気付いたが時すでに遅し。

あっという間に拘束されてしまった。

「……あ゛っ……ぅぐぅぁ……っ」

空気の気道を奪う様にしてきつく、キツく締め付けてくる。

「苦し？るしいよ？
すこねむっいてくさい。」

視界が滲む。

黒が侵食する。支配される。

「直ぐに終わりますよ。」

それが光ある世界での

最後の言葉だった────