隣の席のデカい人【黒尾鉄朗】

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｢もう文化祭の時期なんだな｣




｢ね、ついこないだ体育祭終わったばっかりなのに早いよねぇ｣





テストも終わり気づけばもう夏休み間近、私たちのクラスは今日のHRで文化祭の出し物について話し合いが行われた。





夜久くんから私と黒尾くんが付き合っているという噂が流れていると聞いてから、なんとなく教室では話しづらくてこうしてたまに夜に通話している。





気にしなくていいんじゃないかとも思ったけど、私たちが話しているとどうもクラスのみんなからの視線を感じるのだ。






なので、黒尾くんからの提案でお互い家に帰ってごはんを食べるまでの少しの時間を利用して話している。







…私は黒尾くんと話せるなら何でも嬉しいし、学校以外で話せるのは特別感があってなんだかこそばゆくて照れる。






今日も今日とてその特別感を噛み締めながら今日のHRで決まったクラスの出し物について話す。






｢射的とかフルーツあめとかバルーンアートとか、色々案出たけどまさか全部採用とはな｣




｢それもこれも音駒の文化祭の規模が大きいからこそだよね…｣





そう、私たちのクラスは教室を縁日風に飾り付けをして色々な出し物をすることになったのだ。





フルーツあめのみならず教室での出し物もできるのは、音駒の文化祭がわりと有名で色んな人が来るからこその特権である。






最後の文化祭だし、準備やら何やら今から楽しみだ。








｢…女子って浴衣とか着たりすんの？｣





｢うーんどうだろう、まだ何も決まってないけど縁日なら浴衣の方が雰囲気出るよね｣





｢そーだな。まあ雰囲気うんぬんより、俺がただAサンの浴衣見たいだけなんですけどね｣








…またそうやって黒尾くんは心臓に悪いことを。顔真っ赤なの通話越しじゃ見えないからよかったものの…







｢あ、そういえばバレー部でも何か出し物したりするの？｣




動揺を隠すために話を変えてみる。





｢おー、バカッコイイ動画撮ることになった｣





｢うわぁ、青春感溢れるやつじゃん…いいねそういうの｣





｢目立ちたがりでモテたい欲が強い後輩を持つとこうなるヨネ｣





｢ふふ、楽しみにしてる｣







…でもそんなん、ただでさえ人気がある黒尾くんがやることによってさらにモテちゃうのでは？






そう思うと少し複雑だけど、かっこいい黒尾くんを見れるのはすごく楽しみだ。







｢…早く見たいなぁ｣





｢黒尾くん頑張るわ｣

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