隣の席のデカい人【黒尾鉄朗】

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黒尾side



隣の席の高瀬さんとは初日で割と打ち解け、雑談をよくするような間柄になった。



彼女と関わるにつれて、わかったことがある。



昼飯を美味そうに食べること、

花が咲いたように笑うこと、

誰とでも分け隔てなく楽しそうに話すこと、



…あと、少し天然なこと。



授業中高瀬さんがうとうとしてるのに気付いてたが、つい意地悪したくなってそのままにした。


そしたら案の定号令のとき1人だけ座っていて、慌てて立って恥ずかしそうにしているのを見て、その後もついつい彼女の反応を見てしまうようになった。



小テスト中の腹の音も、あれはたまらず笑った。



彼女を見ていると飽きないし、なんだかちょっかいをかけてしまいたくなるような衝動に駆られる。



…そして何より真面目そうに見えるのに教科書に落書きしてるのも意外で未だに思い出しては笑ってしまう。



それを見た夜久と海にまた高瀬さんか？とからかわれる。面白かったからしゃーねぇ。





｢高瀬さん、バイバイだニャン｣


『お前いい加減その動物シリーズやめろ』



今日も懲りずに話しかけると、彼女はいつもと同じように笑って返してくれる。



｢またね、2人とも部活頑張ってね｣








『黒尾、お前その顔なんとかしろ』



｢…やっくん、それは僕に生まれ直せと言っているのカナ？｣



『お前の顔がムカつくのは確かだがそうじゃねえ、高瀬さんと話したあとのお前口角上がりっぱなしで気色悪いんだよ』



もしかして好きなのか？と夜久は言う。



｢衛輔くんったら急に恋バナなんて始めちゃって…鉄朗くん照れちゃう｣




ふざけ口調で言うと横から顔を目掛けて夜久の拳が飛んでくるが、間一髪のところで抑える。危ねぇ。






｢…高瀬さんって、夜久が1年のとき可愛いって言ってた子だよな｣



夜久は不思議そうな顔をして物騒な拳を下ろし、そーだけど、と答える。






『…あ、もしかして俺が高瀬さんのこと好きだと思ってんのか？』



珍しく察しのいい夜久のその言葉に思わず肩が動いた。




俺のその反応に夜久はほぉ、といった様子で答えた。



『確かに俺はショートで小柄な子が好きだけど、それだけで惚れたりしねぇよ。ちゃんとその人の中身を見て判断する』




ま、高瀬さんいい子だしこれからどーなるかはわかんねーけどな、と言って夜久は俺の先を歩く。






｢…ほんと、男前｣




チームメイトの男前っぷりに感心しつつ、部活に向かった。

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