ねぇ、お兄ちゃん

楽しいこと28 ページ28

仕事が終わって帰ろうとした時、手紙のことを思い出した。今日も待ってるよ、なんてこと書いてたな
本当に待っているのだろうか、もしかして悪ふざけで書いているだけじゃないのかと思い帰ろうと外へ出た


「う〜怖いな」



悪ふざけだったとしても怖いものは怖い
幽霊より人間の方が怖いだなんて最悪じゃないか
友人にでもむかえにきてもらえばよかったな、なんて考えているとまた、気持ちの悪い視線が私に突き刺さった





冷や汗が止まらなかった。悪ふざけじゃなかった
本当だった。本当にストーカーだった



足が震え、思考が停止する
振り返る度胸なんてなく、ただひたすらに走った
息が荒くなる、ストーカーも走ってきている



怖すぎて涙が出てた。家バレしているとは思うけどそのまま家に帰る勇気なんてなく、ただひたすらに走った


ちょうど曲がり角を曲がった時に、誰かにぶつかった





「うわ、す、すみませ…あ」




「びっくりした〜！ってそんな急いでどうしたの妹ちゃん」





そこに居たのは萩原さんだった
尻もちを着いた私に手を差し伸べる姿はまるで少女漫画に出てくる王子様のようだった



萩原さんがいる安心感と、ストーカーがもう居ないことで涙がどっと出そうになった



萩原さんにバレたらいけないと思いぐっと堪えたけど




「よく前を見てなくて、すみません、」




「いや全然俺は大丈夫だけど、何かあったの？」



そう聞いてくる萩原さんはやっぱり感がいいと思う
さすが警察官と言ったところだろうか




「なんでもないですよ、ドラマの録画を忘れてて」



未だに震える右手を隠しながらできる限りの笑顔でそう答えた。迷惑はかけたくない、その一心で






「…そっか、夜も遅いし送っていくよ」





「え、いいんですか？」




正直、送ってくれるのはありがたい。あのストーカーはどうせ私が1人の時に狙ってくるだろうし






その日はありがたく萩原さんに送って貰った




「今日はありがとうございました」







「いいえ、困ったことがあったらすぐ言うんだよ」





「…分かりました」






そう言って手を振る萩原さん
今日はお酒でも飲もうかなと思い部屋に戻った















残り4日・事故死

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