ねぇ、お兄ちゃん

嫌なこと16 ページ16

私はつい反射で「降谷零」という文字に反応してしまいそれを言葉に出してしまった



「降谷、零」


震えながら出たその言葉は我ながら情けなくて
でも久しぶりに読んだその名前は涙が出てきそうなくらい懐かしいものだった


その言葉が前のフードの男の人に聞こえたのかその人は急に振り返り、こちらを見て目を見開いた



「Aちゃん、？」




「え、あ、はい」




そう言うと男の人は凄まじいスピードで私のところまで走ってきた、うお、はやい



「本当に！？諸伏景光！ゼロの同期の！」



「…あ！あー！よくメッセージくださった！」



「そうそう！俺Aちゃんに会いたかったんだよね」



この人が諸伏景光さん
警察学校時代に彼が私に1番よくメッセージをくれた
文面から見ても優しい方なんだろうなと思っていた
髭が生えてるのは意外だったなぁかっこいいけど


ていうか私兄との接点を減らすために松田さんと萩原さんを避けてきたって言うのに、なんでまた同期の方と出会っちゃうかな、
しかもまたカウントダウン見えるし


「死にかけの人が多すぎない、？」



「ん？」



「いや、独り言です」



大体なんでみんな若いくせに殉職なんて危険なことするんだろう、まぁそれが警察官の役目ってやつなのかな


じゃあ兄はどうなのだろうか
もしかしたらカウントダウンが始まっているのでは無いのか。そう思うと兄を人目見たくなった

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