ねぇ、お兄ちゃん

嫌なこと14 ページ14

それを聞いた松田さんは少し驚いたような顔をした
その顔が少し間抜けで、面白かった


「なんですかその顔」



「いや、てっきりお前は降谷のことが嫌いなんだと」



どこ情報ですかそれ、と言いかけたけどやめた
どうせ松田さんの独断と偏見がこの答えに至ったのだろう





「どっちかって言うと私の方が嫌われてますし」




「…は？」




松田さんはさらに驚いた顔をして何言ってんだこいつみたいな目で私を見てきた
なんていう顔してんだこいつって目で見返してあげた



「肌の色から性格まで何もかも違いますからね」



「いや、おまえ、え、え？？？？？？」



「なんでそんなに困惑してるんですか」



「いや、だってお前」




松田さんはサングラスを外し、頭をクシャりとかいた
まるで訳が分からないみたいな目でこっちを見つめてくるのはやめて欲しい


困惑してるのはこっちだって言うのに
兄は私が嫌いで、大嫌いで
私たち兄妹の絆なんてもう修復できないくらいなのに






「降谷、お前のこと相当大事にしてたぜ？」













なんでそんなに期待するようなこと言うかな、松田さん









「…萩原さんみたいに冗談言うのやめてください」




「これは冗談じゃない、まじの方だ」





「松田さんっていつもまじの話みたいな顔して巫山戯ますよね」






「おい俺は1度たりともふざけたことはねぇ」





「ほら、冗談言うじゃないですか」





「おいなんだとてめぇ」




兄への期待なんて、もうしたくなくて話を逸らした
期待して痛い目見るなんて、もうあの誕生日で懲り懲り
兄は私が嫌い、そう思ってないとまた何か変な期待をして兄にもっと嫌われてしまうから






そんな私の考えが伝わったのか、松田さんはため息をついて私にこう言った







「お前ら兄妹の関係がくそ面倒なのは分かった」







「だけどなこれだけは覚えといてやれ」












「降谷、お前から貰った腕時計ずっと使ってたから」

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