ねぇ、お兄ちゃん

嫌なこと13 ページ13

目が覚めるとそこは病院だった。
身体中が痛く、目を開けるので精一杯だった


体を見ればわかる通り、私はかなり無茶をしたようだった。警察の方からはしこたま怒られました。
仕方ないじゃん、あぁでもしないと松田さんの命が危なかったんだから


ゴンドラから飛び降りたあと、落ちている最中に木にぶつかり、予め下で待機させておいた救護班がマットを敷いていたおかげで助かったらしい。

それでも危険な容態には変わりなかったと言われた
てか下でマットを敷いているなら先に言ってくれればよかったのに



目が覚めて2日後に松田さんがお見舞いに来てくれた
とても不機嫌ですオーラが半端じゃなかった



「久しぶりですね」



「…」



「勝手なことしてごめんなさい」



「…」



「迷惑かけましたよね」



「…」




「…」



沈黙。
この2文字にどれだけの気まずさがあることやら


「サングラスにヒビ入ってますけど」



「はぁ！？嘘だろ？？」



「ガチ焦りですね、嘘です」




「こいつやっぱり1回殺しとけばよかった」



「物騒ですね」




「てめぇのせいだけどな」



…とりあえずいつも通りでよかった
絶対怒られると思っていたから



安心してほっと一息ついていたら「なぁ」と松田さんから声をかけられた


「なんで俺を助けた？」


何を聞かされるのかと思いきやどうして松田さんをたすけたのか、かぁ



「あの時、俺がゴンドラに乗っていたら高確率で死んでいた。今回お前は生きていたからいいかもしれねぇけもお前が死ぬ確率だって低くはなかった」




どうして助けたのか、そう聞かれればなんて答えればいいのか戸惑う。


別に助けたつもりは無いし、貸1する訳でもない
でも強いて言うなら











「兄のためですよ」







たった1人の、尊敬する兄のため

嫌なこと14→←嫌なこと12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す