ヒーローがログインしました！season4【歌い手】

ヒロイン！１４５ ページ6

恨み言が聞こえた。

『俺のせいで。』『俺のことを守ったから。』『あいつが居たせいだ。』『こんなの違う。』『あいつにだけは殺させない。』…。

『人を殺して手に入れる平和は正義じゃない。』

…凪月の声だった。

凪月は、なんで私のことを監視してたんだろうって本気で不思議だった。

でも、そっか。凪月は人を殺して手に入れる平和なんて嫌だったのか。

あの女の子…なぜか誰かわからなかったけど。きっと、凪月はあの子のことが好きだったんだろうなあ。

意識がふわっと上がってきた。

『駒になれ、人間。』…耳にへばりつくようなあの女の声が、凪月の記憶の声をかき消していた。

体が操られてるみたいに動く。

そらるさんが天月を殴ろうとする手を止める。すごい、手に雷でも落ちたのかと思うくらい痛かった。

天月に擦り寄るように能力を捨てる。

「そらるさん、私の言う通り動いてください。」

私の頭はきっと、天月に打たれた薬で麻痺し始めてる。でも、なんかさっきの女の声がずっと聞こえてて。なんか…平気。

そらるさんの首を噛むふりをして、自分の舌を噛んだ。だらり、そらるさんの首に血を垂らす。

「そらるさん、ばーん。」

私がそう言うと、そらるさんは壁に向けて能力を撃った。

自分の意思とは関係なく天月に擦り寄って喋っていた。

駒になってしまったみたいに。

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