ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１１９ そらるside ページ29

楽しい時間というものはすぐにすぎるもので。

一応女の子だし、帰る場所は一緒だけどあまり遅くならないほうがいいよねってことで、６時すぎにショッピングセンターを出た。

ご飯食べて、また少し雑貨や服を見て、ヴァンプおすすめのシャンプーとか見て。

妙な視線を時々感じた気がしたけど、その正体は結局わからずじまいだった。もしかしたらヴァンプ連れて歩いてる緊張感が変に作用してたのかも。

今日だけで結構ヴァンプと話せた。俺に慣れたのかなんなのか、笑うことも増えた。

そ「今日楽しかった。はいこれ、買った服とアクセ。」

救護室まで送り届けて袋をベッドに置くと、ヴァンプは最初に入った服屋さんの紙袋とご飯の後に入ったアクセサリーショップの袋を手渡してきた。

「楽しかったです。これ、そらるさんに。」

そ「えっ。」

驚いた。

何に驚いたって、歳下の女の子から遊びに行ったとだけでプレゼントもらったこと。

えっ世の中の女の子ってむしろ「プレゼントもらって当然！私からあげる？なにそれ？」みたいな意識なんじゃないの？

えええイケメンか。

その場で断って袋を開けてみると、白のカットソーにたぼっとしたデニム生地のアウター、黒のパンツが出てきた。

シンプルなファッションだけど、デニム生地のアウターがサブカルチックでいいポイントになっている。

ヴァンプはもしかしたらこうゆう、シンプルだけどどこかにポイントを置いたコーデが好きなのかもしれない。今日のファッションとかもそうだったし。

もう一つのアクセの袋も開けると、金色に黒のポイントが入ったリングピアスだった。

「そらるさん、左耳のロブにピアスホールありますよね？」

その通り。俺は左耳の耳たぶ…ロブに一個だけ、ピアスの穴が開いている。

よく気がついたな。

そ「ありがとう。大事に使わせてもらうね。」

商品をきちんと袋に戻す。

どれもメンズだったし、返してもしかたない。それにこれはヴァンプの好意だから、ありがたくもらうことにした。

「次は、お互いが選んだ服で遊びにでもいきますか？」

にやっと少し悪そうな顔をするヴァンプ。

こいつ冗談でも心臓に悪いこというな。めっちゃ今ときめきかけた。おじさんきゅんとしました。対して歳変わらないけど。

そ「そうだね、また近々いこう。」

仕返しのつもりでそう答えてから部屋を出た。

…俺今絶対気持ち悪い顔してる。にやにやがとまらない。

心臓の鼓動を抑えるように、そっと左耳をつねった。

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