ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１２３ ページ33

ふわふわと、漂っているような気分だった。

手首と足首が重くて冷たい。とっても不快。だけど、なんでか目を開けたくない。

意識はあるけど、多分まだ脳のどこかが寝てるんだろう。ぼーっとする。

？「ねぇ、A。起きて。」

ぼんやりとした頭の中に声がこだまする。

誰。私のこと呼んでるの。

まふまふさん？そらるさん？うらたさん？坂田さん？るすさん？Eveさん？歌詞太郎さん？

違う。特別部隊の人たちは私のことAなんて呼ばない。

「…凪月。」

目は開けず、思い当たる名前を口からこぼす。

？「A、久しぶり。でもここでは凪月じゃなくて、『天月』だよ。」

ぽんぽん、と頭に手が触れる。

「あま…つき？」

呼びなれない名前に聞き返す。

天「『凪月』はあそこで暮らすための偽名みたいなものだったから。今は天月。」

「言ってる意味がわからない。」

天「まぁそのうちわかるから心配なんていらないいらない。」

「特別部隊の人はどこ？…いや、そもそもここは電子戦争省の中なの？…あー、えっと、なんで凪月は、私に会いに来たの？」

頭が回らない。

まわらない。

質問したいことがたくさんある。

追いつかない。

天「あ〜ま〜つ〜き。もう俺は凪月じゃないの。」

凪月…ううん、天月は、のんびりとした声で返す。

私はなぜかここまで来ても目を開けたいと思わなかった。…否、目を開けることができなかった。

天「にしても、Aはさすがだね？手足縛られて、目隠しされて…お薬打たれてるのに、まだ冷静なままなの？」

いやちょっとまて凪月。

「薬…？」

勝手に薬盛んなよ！！！

えっ、なんの薬！？こわい！！！

天「ねぇ、ぼんやりしない？それに…暑くない？」

凪月の手が、私の手に触れる。

「ひっ…。」

冷たい。

天「質問に答えるよ。
ここは電子戦争省なんかじゃない。ここは反政府組織Assassine(アサシーヌ) の事務所…ヴァンプ(特別部隊期待の新星) 、しばらく拉致させてもらう。」

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