ヒーローがログインしました！season2【歌い手】

ヒロイン！９２ そらるside ページ47

ヴァンプの気分転換に、まふまふと坂田がご飯連れてってるって聞いていた。

けどその次に来た連絡が、近くの会議室に立てこもってるので助けてくださいってなんだ。

歌「るすくんまで立てこもったら誰が逮捕するの…はぁ…。」

歌詞太郎は深いため息をつく。

そ「…歌詞太郎。ごめん、力貸してくれないかな。」

もうこうなってしまったら、俺たちは歌詞太郎に頼るほかなかった。

いや、こうなる前に、歌詞太郎に頼むべきだった。

歌「遅いよ、そらるくん。」

歌詞太郎はにこり、笑う。

歌「ま、3人でぱっぱと捕獲してここの地下牢にでもぶち込もうか！」

…電子戦争省大臣には、拘束権がある。

あの戦争から持ち帰って来たEveも、歌詞太郎の判断で地下牢にて拘束している。

姫のことだって、もちろん拘束できる。

もっと早く頼まなかったのには、理由があった。

う「歌詞さん、わかってますよね。無理は厳禁です。」

うらたが険しい顔をして歌詞太郎の腕を掴む。

…歌詞太郎が前線から身を引いたのは、去年のことだった。

歌詞太郎は、もとはこんな早く役付きになる予定ではなかった。

本当なら今頃、特別部隊のリーダーとして俺らを指揮してくれていたはず。

変わってしまったのは、忘れもしないロシア戦の時。

俺やまふ、坂田を庇って…敵のヒーローの攻撃を、もろに食らった。

その時、残ってしまった障害。それはヒーローとしては致命傷な突発性意識障害。

急に意識がなくなったり、急に混乱したり、急に敵味方の区別がつかなくなったり…最悪は、急に心停止になってしまう障害らしい。

原因は、よくわからない。神経にも何にも傷は残らなかった。

でもきっと、あの時のヒーローの攻撃が変に作用したんだと思われる。

それと歌詞太郎の拘束権がどう関係するのか、というと。

歌「あんまり逃げ回らないでくれたら楽なんだけどな。」

歌詞太郎はそういうと、手を何もないところへ向けた。

するとそこから、シュルシュルっと音を立てて小さな鳥かごのようなものが現れた。

これは歌詞太郎の能力。

光を操り、変形させ、ときに武器として、ときに拘束具として使える。しかも一度形を形成したものは歌詞太郎が許可を出すまでその形を保持する。

弱点は、体力消費と脳波がいちじるしく乱れること。

…この力でできた檻に、拘束権を使って罪人を閉じ込めるのだ。

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