ヒロイン！８３ まふまふside ページ38
ぎゅう、と抱きしめてくるヴァンプの腕の感触。
それだけで、どれくらい追い詰められているのかがわかったような気がした。
死線を潜っても泣かなかったこの子が、人目も憚らず僕に抱きついて泣きじゃくってる。
胸が痛かった。
僕は人を慰めるやり方なんてわからない。女の子となったらなおさらだ。
こうゆうのは、そらるさんとか歌詞太郎さん、坂田が上手なんだけど…。
渡したくなかった。
もうやだ、ってヴァンプが泣き始めたその瞬間。
『僕が』慰めなきゃって思った。
正直、姫の処遇なんて、もうヴァンプに2度と関わらないでくれるならなんでもいい。
姫にはものすごく怒ってるけど、ヴァンプが泣き止むならなんだっていい。
むしろ裁判とかになって、ヴァンプがまだ姫に関わらなきゃいけなくなる方が酷なことだと思う。
坂「…ヴァンプちゃん、もしよかったらやけど。三人で少しご飯でも行かん？」
ヴァンプが少し落ち着き始めた時、坂田が言った。
坂「最近ご飯拒否してたやろ。ちゃんと知ってんで。
気乗りせんかもしれへんけど、ちょっと気分転換でもいこや。」
ヴァンプは怯えたように僕の肩越しに坂田を見ると、小さい声で
「…はい。」
と返事した。
坂「じゃあ俺、出かけれるように車とか手配してくるわ。まふくんはヴァンプちゃんといたって。
あぁ、１５分後くらいにロビー集合な。まふくんちゃんとおんぶしてくるんやで。」
坂田は言うだけいうと点滴を外して走り去った。
ま「じゃあ、出かける用意しようか。大丈夫？起きれそう？」
そっとヴァンプを抱きおこす。
外れていた眼帯を結び直して、ラベンダーアッシュの髪の毛を少しだけ整えた。
「…自分で歩きますよ。だからその、おんぶは…」
ばつが悪そうに下を向くヴァンプ。
はー、なんだこのかわいい生物。顔真っ赤。
ま「僕の背中じゃ嫌？」
いたずら心からそう聞くと、ヴァンプは黙り込んだ。
あれ、ほんとに嫌なのかな。
ちょっと傷つくかもしれない。
「…はず、かしい。」
きゅ、と僕の手を握るヴァンプに、心臓がありえないくらい締め付けられた。
ま「大丈夫。それに僕の上なら僕が守ってあげられるでしょ。」
照れながら背中を向けると、なんだかんだいいつつも首に手を回してくる。
ま「じゃ、少し雑談でもしながら行こうか。」
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PaiN(プロフ) - 初コメント失礼します！ いつも楽しみに拝見しています。様々な視点からのストーリー展開や、登場人物の心情など読みごたえがあってとても好きです！！これからも応援しています。更新頑張って下さい！！ (2018年1月22日 23時) (
レス) id: 7643d58d7b (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 初コメ失礼します。少し気になったのですが、80話では主人公ちゃんの髪がラベンダーアッシュと描かれているのに対し、83話ではブルーアッシュと描かれていて、どっちなのかなー?と思いました。演出だったらすみません。更新頑張ってください。楽しみにしています! (2018年1月22日 22時) (レス) id: 7ecf9aae1c (このIDを非表示/違反報告)
96neko - 初コメント失礼します。更新頑張ってください！ (2018年1月10日 4時) (レス) id: 35f8ab9167 (このIDを非表示/違反報告)
青いおにぎりちゃん(プロフ) - 面白いです！いつも更新楽しみにしています！ずきりが、図きりになってますよ！わざとだったらごめんなさい！ (2018年1月9日 16時) (レス) id: 394a55dba2 (このIDを非表示/違反報告)
れる - 初コメ失礼します!こーゆー感じの小説大好物です。好きです(唐突)毎日のぞきにくるので更新頑張ってください!!楽しみにしています(´ω`)♭ (2018年1月7日 23時) (レス) id: e854100071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神咲のあ | 作成日時：2017年12月19日 10時
