ヒーローがログインしました！season2【歌い手】

ヒロイン！７７ 坂田side ページ32

夕方、うらたさんとヴァンプの健康状態チェックに向かっているときのことだった。

ガシャンガシャン、がたっ、ごん、

パンッ

何かが暴れて物が落ちるような音のあと、戦地で聞き慣れた音がした。

う「…救護室…？」

あれ、と思ってから、突如胃が痛くなるくらい背筋が冷えた。

もしかして、ヴァンプに何かあったんじゃ。

うらたさんと目を合わせて走り出そうとすると、慌てたように姫が救護室から走って出て行くのが見えた。

…さっきの音の原因が、なんとなく分かってしまったような気がした。

姫を追いかけるか、救護室に向かうかで一瞬迷った。

けど、すぐに救護室に向かった。

姫なら後からでも捕まえられる。でも、もしヴァンプが何かされていたら。

坂「ヴァンプ！！」

…予想以上の状況に、うらたさんも僕も息を飲んだ。

う「…っなんなんだよ！」

ヴァンプが、白い床に『落ちて』いた。

びちゃびちゃと赤い液体がお腹から地面に垂れていく。

背中のところに落ちている眼帯が、ヴァンプが戦地で倒れたとき降って来た鳥の羽と重なって見えた。

ヴァンプの周りには、姫の罪を隠蔽しようとしたことで書かされた始末書がバラバラと落ちている。

始末書にも血が付いてて、もう出せそうにない。

う「ヴァンプ、聞こえる？うらた。すぐ治すからちょっと服めくらせて。」

ヴァンプは衰弱こそしているようだったが息もしてればこちらの声もきちんと聞こえているようだった。

うらたさんは転がってたヴァンプをそのまま仰向けにさせると、服をたくし上げた。

坂「うらさん、これ！」

止血剤つきの抗菌布をうらたさんに渡すと、うらたさんはヴァンプの傷口をぐっと抑えた。

麻酔もなんもかかってないのに傷口を押されたヴァンプは苦しそうに呻く。

う「坂田、そらるさん呼んで。本部にいるやつに姫確保させて。最悪、姫はるすに現行犯逮捕させちゃってもいいと思う。」

うらたさんは注意深く傷口のあたりを拭き取って、まだ体内に残っているであろう銃弾を取り除こうとしていた。

端末を操作して『そらる』と書かれている連絡先をタップすると、５コールくらいでそらるさんが出た。

坂「ヴァンプが撃たれました、犯人は姫です。現行犯です。姫は逃走中。うらたと坂田、治療中です。うらたさんがそらるさん呼んでます。できれば他の本部メンバーで姫捕まえてください。」

挨拶もなしに喋り出した僕に緊急性を感じたのか、そらるさんは『すぐ行く』とだけ答えた。

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