ヒロイン!63 そらるside ページ17
E「ねぇ、ヴァンプちゃんに何してくれてるの?…許さない。」
Eveの怒りの矛先は、完全に姫に向いた。
銃が、突きつけられて、一瞬。
姫が撃たれるその瞬間を直視したくなくて、目をそらした。
きん、と、金属が当たるような音が、衝撃波みたいに押し寄せてきた。
「るすさんッッ!!!」
次に聞こえたのは、悲鳴のような、ヴァンプの…声。
さっきまで倒れ伏していた、ヴァンプの声。
振り向いて驚いた。
姫とEveの間にヴァンプが滑り込んで、Eveの腹の真ん中に鎌を刺した状態で座り込んでいた。
ま「Eveくんを!!はやく!!!拘束!!!」
るすも動きを止めていたけれど、まふまふに呼ばれてすぐEveに真っ白な鎖が絡みついた。
もう逃がさないとでもいうかのように、きつく。
両腕両足がもう動かせないくらい。
Eveももうさすがに動けないようで、もがきつつもだんだん落ち着いていった。
ヴァンプは憑き物でも落ちたようにぐしゃりと地面にうつ伏せに落ちた。
ま「ヴァンプっ!!!」
みんな、一目散に駆け出して近くによる。
1番近くにいたうらたくんは脈を測ってまだ息があることを確かめると
う「…息してます。はやく帰って治療すれば、一命は取り留めるかと。」
と、真面目な声で言った。
そ「じゃあ俺が運ぶ。」
ひょい、とヴァンプを背負おうとすると、「ゔ、」と苦しむような声が聞こえた。
そ「ヴァンプ、どこが痛い?」
そう聞いてからふと止まった。…どこが痛い?じゃない、どこなら痛くない?だ。
どこかしこもキズだらけ、痛くないわけがない。
…背中から、水っぽい暖かさがしみてきた。
俺の制服は今、真っ赤になっているだろう。
そう、背負っているヴァンプの血で。
命をかけて俺らを助けてくれた、『仲間』の血で。
ま「ヴァンプ、口開けて。」
突然まふまふがヴァンプの口に指を突っ込んだ。
ま「これ、飲み込んで。薬。」
まふまふが持っていたのは、凝血剤。
血を止めるための薬。
しかも、即効性の。
けどヴァンプは既に飲み込む体力も残っていないようで、口の中で溶かしている状態になっている。
ものすごく苦いだろうなぁ。
しゅっと端末を操作して元の世界に戻ると、そこにいたのは泣いている歌詞太郎だった。
そ「…ごめん、命令守らなくて。Eve連れてきたから、預かってくれる?」
そういうと歌詞太郎はるすと一緒にEveを運んでいった。
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PaiN(プロフ) - 初コメント失礼します! いつも楽しみに拝見しています。様々な視点からのストーリー展開や、登場人物の心情など読みごたえがあってとても好きです!!これからも応援しています。更新頑張って下さい!! (2018年1月22日 23時) (レス) id: 7643d58d7b (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 初コメ失礼します。少し気になったのですが、80話では主人公ちゃんの髪がラベンダーアッシュと描かれているのに対し、83話ではブルーアッシュと描かれていて、どっちなのかなー?と思いました。演出だったらすみません。更新頑張ってください。楽しみにしています! (2018年1月22日 22時) (レス) id: 7ecf9aae1c (このIDを非表示/違反報告)
96neko - 初コメント失礼します。更新頑張ってください! (2018年1月10日 4時) (レス) id: 35f8ab9167 (このIDを非表示/違反報告)
青いおにぎりちゃん(プロフ) - 面白いです!いつも更新楽しみにしています!ずきりが、図きりになってますよ!わざとだったらごめんなさい! (2018年1月9日 16時) (レス) id: 394a55dba2 (このIDを非表示/違反報告)
れる - 初コメ失礼します!こーゆー感じの小説大好物です。好きです(唐突)毎日のぞきにくるので更新頑張ってください!!楽しみにしています(´ω`)♭ (2018年1月7日 23時) (レス) id: e854100071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神咲のあ | 作成日時:2017年12月19日 10時