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涙が溢れて、少ししか離れてないのに、侑司がぼやける。


金子「なんで泣くん」


繋いだ手が離れて、私の頬を優しく拭う。
少しだけカサついた男らしい指が肌に触れてまた、涙が溢れてくる。

それでも何か言おうと口を開く私を、
侑司は何も言わずに待ってくれていた。


「…っ、ありがとう。私も……」


絞り出した言葉は震えるし、涙声だし、さいあく。

ちゃんと最後まで言えてない、なのに、笑って抱きしめてくれる。


金子「やっと戻ってきてくれた。
ずっとずっと待ってたんやで?……俺が悪いねんけどな」


「私も悪い、ちゃんと聞かなかった」


金子「聞かれへんかったんやろ」


聞かなかった私が悪い。
そう言う私を侑司は、聞けなくした俺が悪いと言う。

そんな終わりのない過去の話にすらも、底なしの優しさを感じる。


「ねえ、もうどこにもいかないで」


あの時よりも、大きくて、硬い背中に腕を回した。


金子「当たり前やん、もう一生離さへんわ」


私の耳元に唇を寄せて言う。
暗くてお互いの表情なんて詳細にわからない。

それでも、侑司が優しく私だけをみて笑ってくれているのがわかる。



ただ好きで、ただ離したくなかった、

一方的で自分の思いが相手を苦しめてた、そんなあの時とは違う。



離れた時間が長すぎた。
そして、お互いに大人になってやっとわかる。


唯一の温もりをただ大切にしたいと思った。

あの頃の青春は戻ってこないけど、
今だからこそできる恋愛だってある。


大人になってからの"青い恋"ってどんなものなのか想像できないけど
侑司とだったらなんだって乗り越えていけそうで、


やっと笑顔で応えられた。


「好きだよ、侑司。大好き。
こちらこそもういちど、私と恋してください。」

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瑠杏(プロフ) - latteさん» 大変長らくお待たせして申し訳ありません。そしてこんなに経ってお返事をするのもいかがなものかと思いますが、無事完結いたしました。最後の2人を見届けてあげてください。コメント本当にありがとうございました^^ (2022年7月26日 0時) (レス) @page24 id: 4ed0b191d0 (このIDを非表示/違反報告)
latte - 一気読みしてしまいました…!もう更新のご予定はないのでしょうか?いつか更新されることを願っています! (2021年5月5日 10時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠杏 | 作成日時:2020年10月11日 17時

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