探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】 (ページ10)

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③ ページ10

『サンタさんって…まぁいいけど。じゃ電気消すわよ』

カチッとボタンを押し、寝室へ向かう。時刻は午後十時。間宮がプレゼントを置くのは、深夜一時だ。

(少し寝たい…)

そう思い、深く目を閉じた。

_______深夜一時

(もうそろそろね…。乱歩は寝てるだろうし、さっさと済まして寝よ…)

足音を立てないように静かに移動する。プレゼントの入った袋を握りしめ、深呼吸をした。なんてことない。サンタクロースをいまだに信じている男の枕元に置くだけだ。

扉を開き、中を確認する。どうやらぐっすり眠っているようだ。一安心すると、そっと扉を閉める。

枕元まで近づき、プレゼントを置いた。

_______が、

(…ん？布団に膨らみがな_______)

乱「捕まえたー！！！！」

『ｯ？！』

急に抱きつかれたと思えば、バランスを崩して布団に倒れてしまった。驚愕しながらも目を凝らして見えたのは、翡翠の瞳だ。

乱「あはは、やっぱり"今年は"Aが任されたんだ」

『乱歩？！あんた、起きて、』

乱「毎年福沢さんが持ってきてくれるのを横目で確認してから寝てたんだけど、今年はどうするんだろうって思ってたんだよねェ」

『！騙したわね？！』

思わず胸ぐらを掴みそうになる。しかし、乱歩が覆い被さっているこの状況では確実に怪我を合わせてしまう。そう思い拳を抑えた。

『取り敢えずどきなさいよ』

乱「そうだね」

乱歩は体勢を戻すと、間宮の手が掴んでいるプレゼントを受け取り、中身を確認し出す。

(私はまたこいつに弄ばれてたってわけ…)

自分のツメの甘さに悲観していると、乱歩は部屋の電気をつけ椅子に座った。

乱「この僕がサンタを本気で信じてるって思ったの？莫迦だなぁ」

『はぁ？福沢さんは毎年夜中に置いてるんじゃ……あんたまさか』

乱「そっちのほうがクリスマスプレゼントっぽいだろ？だから毎年そうして欲しいって頼んでたんだー」

(……確かに乱歩がサンタを信じてるなんて福沢さんは一言も云ってなかったわね)

心の中で打った舌打ちは虚しく、そして惨めだ。

そんな間宮に乱歩はニヒルに笑って口を開いた。

乱「僕達、もう"子供じゃない"んだよ？そういうのは卒業しなきゃねェ？」

『ｯこんの性格ひねくれ探偵！』

後日、敗北感を味わった間宮は与謝野にこの話をしてさらに笑われたという。