探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】 (ページ36)

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③ ページ36

乱「僕は、嫌いじゃない」

『は』

乱「僕はAの事、嫌いじゃないさ。

周りに置いていかれないように裏で努力してるのも、仲間のことを一番に考えて行動しているのも。

…過去の自分を、殺そうとしてるのも僕は知ってる」

『…』

乱「そりゃ人間、悩む時や疲れる時なんて山ほどある。

けど其れらを全て自分のせいだと思い悩むのはお前の悪い癖だ。昔からのな。

お前は探偵社に、"僕"に必要だ。だから_______」

ぎゅっと、間宮を掴む手に力が込められる。

乱「自分をもっと大事にしろ。…頼む」

『…ｯなに、よ急に、だ、大丈夫だって、云ってるでしょ』

焦っているのか恥じているのか、間宮は貌を横に逸らす。何時も以上に乱歩の目は真剣で、冗談を云っているように見えないのだ。

『…______！！』

恐る恐る目を合わせると、其処にはなんともいえない貌をした乱歩。
彼女は、其れを見てさらに動揺した。

『なんで、アンタが泣きそうになってるのよ』

驚きのあまり、後ろに一歩後ずさる。すると、今度は乱歩が間宮に一歩近づく。

乱「約束しろ、A」

『……』

目が合あう中数秒、間宮はごくりとつばを呑み込み口を開いた。

『………だからって、アンタが煙草を吸う意味が判らないんだけど』

乱「"同じ感覚"を味わおうと思って」

『…なによそれ、変なの』

『水とってくる』そう云って乱歩の手を振り解く。

水を注ぐ間宮を見て、乱歩は悲しそうに小さく呟いた。

乱「……"約束する"とは、云ってくれないんだな」

_______Aを助けたあの日から、少しは救いになれていると思ってた

でも、蓋を開けてみれば案の定

お前は暗くて、孤独な場所のまま

周りが大切なもので埋まっていくのが怖いんだろう

否、其れと関係なくとも、自分のことなんかどうでもいいと思ってるんだ

仲間を守れるなら、死んでもいいと

頼る事を知らない

頼り方が判らないんだ

その癖、仲間の助けにはなりたいと思ってる

自己犠牲を厭わない

本当に、莫迦なやつ

_______だから僕が

お前を其処から連れ出してやる

少しシリアスな雰囲気にしてみました。主人公は色々拗らせてるようですね。乱歩さんは可愛すぎ。無理して煙草吸わないでね

更新亀ですが生きてますこれからもよろしくお願いします

作者より