探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】 (ページ30)

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番外編　「お菓子」② ページ30

其の瞬間、自分の貌に血が昇っていくのがわかった。体温が高くなっていき、思わず口に咥えていた菓子をぽとりと落とす。

其れと同時に、社員皆が「まずい」と緊張が走った。

何故ならば

乱「えぇ〜？Aってばそんなに僕の"たべかけ"のお菓子が食べたかったんだァ〜？」

全((絶対こうなると思った))

『なｯ、違、私は』

珍しく照れている。否、恥ずかしがっているからか、語彙が仕事をしていない。

乱「わざわざ皆んなの前で？しかも今"会議中"だよ？なのに"強引"に僕の手を引いて食べさせるなんてさァ」

『アンタがいつも何時も私に食べさし寄越してくるからじゃない！！だ、だからさっきも私に食べろっていう意味かと思ｯ、て』

改めて考えて見ると、これは間接接吻(キス)というものではないか。と、間宮は考えてしまった。間接接吻どころか、乱歩が一度口に入れた飴を食べてしまう始末だ。

これは善い事なのだろうか。

『ｯわ、私一寸出てくる！！』

与「A？！」

与謝野の呼ぶ声も聞こえないのか、扉をバタンと閉め駆け出していってしまった。

乱歩は満足そうにそれを見送ると、新しいお菓子を開ける。

乱「会議続けるよ。国木田、よろしくー」

国「は、はい。では先程の___....」

与(こりゃまた…)

太(乱歩さんも隅に置けないなァ)

賢(お二人は本当に仲良しですね！)

谷(間宮さんと乱歩さんってやっぱり…)

鏡(あの人のあんな貌初めて見た)

敦(も、もしかしてこれって僕のせいかも…)

おまけ「敦の懸念」

数週間前

敦「よし、あとはこの段ボールを…ん？」

ある日、見てしまったのだ。

乱「A、あー」

『あー…ｯｯますぎでしょ…』

社の先輩がお菓子(食べかけ)を異性の先輩に渡しているのを。しかも「あーん」方式で。

敦(……僕がおかしいのかな…)

次の日

敦「ら、乱歩さん」

乱「んー？なんだ敦」

敦「えと、乱歩さんは食べきれなかったお菓子とかはどーしてます…？」

乱「Aに食べさす」

敦「そ、それって間接接吻(キス)じゃ…」

乱「！」

接吻と聞いた瞬間、乱歩はギンと目を見開く。

乱「間接…ああ、そうだな。なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだ」

敦「へ？乱歩さん？」

乱「よくやった敦。ご褒美にこの洋菓子を分けてやろう」

敦「あ、ありがとうございます…？」

次の日から、さらに二人のアレを見かけることが多くなったという。