黄昏の君に ページ18
_______アンの部屋にて
乱「探偵社設立後の祝賀会に最初に来てくれたのは、あの人だったんだ」
『…福地桜痴が?』
乱「うん。その時の社長の言葉が引っかかってて」
"福「私が先に生きる道を見つけて、少し寂しいのだろう」"
乱「多分、それだけじゃない」
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間宮は紅色に燃える夕焼けを見つめ、乱歩との会話を思い出す。間宮も、福地にはいろいろ引っかかる事があった。
世界征服をするだけなら、人質など必要ない。わざわざ探偵社など相手にする意味がないのだ。なら、何故こんなことをしているのか。
(私には皆目検討がつかない。乱歩なら判ったのかしら)
国木田から事情を聞いた間宮は、怪我が治った体で乱歩の元へと向かった。
すると、丁度其処には生き絶えたであろう福地と、哀愁にまみれた福沢の姿があった。
無事ワンオーダーによる世界征服は阻止できたのだろう。しかし、その場にいる全員が何故か悲しそうだ。
福沢はトランシーバーを握りしめ、悲しそうに叫んでいる。
『乱歩』
背を向けた乱歩に声をかけると、無事返事が返ってきた。
乱「A、怪我はもういいのか?」
『おかげさまでね。
…福沢さんは?』
乱「今はそっとしといてあげなよ。
あの人は今、親友からの呪いに苦しんでる」
意味はよく判らないが、乱歩の云う通りなのだろう。
二人はただ、傍観するしかできなかった。
黄昏に照らされる乱歩をみて、間宮はふと思う。
乱歩が云っていた「それだけじゃない」は、寂しさ以外に何があったのだろう。もしや、親友に対する怒りや葛藤、憂いなどがあったのかもしれない。其れでも、あの二人が親友だったのは事実だ。本当なら殺し合いなどする筈のない、二十年の時を共にしたのに。
福地の「先に道を見つけてしまった友」という寂しい気持ちも、少し同情してしまう。
『…私たちも、こうなるのかしら』
ぼそりとつぶやいた言葉は、乱歩の耳には届かない。
長い探偵社の戦いは、此処で終末を迎えた。
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誰って?ふふ、アタシにも分からないわ。 - あぁぁああ!!ツンデレ具合が可愛すぎます....!! (5月8日 23時) (レス) @page38 id: 47436d7826 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - ゆいたろー!さん» ほんとにですよね〜! (2月25日 4時) (レス) @page32 id: 24087fee12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 乱歩さんかわいい!! (1月25日 22時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
さぁや - 面白くて一気見してしまいました(笑)これからも頑張ってください! (12月28日 23時) (レス) @page11 id: ee7d1e5722 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - アーテルさん» ありがとうございます!聴いてみます! (11月27日 22時) (レス) id: 2f7e82fb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年11月6日 18時