探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】

抜け道 ページ12

乱「話の流れでわかると思うが、この通信機はあまりに危険すぎるため封印された。軍の最高司令官がワンオーダーを使った場合、国軍全体を一斉に操り国家転覆も可能。そのことに気づいた政府はこの兵器を封印した」

谷「封印…つまり、破壊はしなかったんですね」

乱「すべきだった。今回のような世界的危機を想定したんだろう。其れ自体は慧眼だ。…たが、福地がこのワンオーダーを使用した場合、何が起こると思う？」

乱歩の問いに、国木田は何かに気づいたように声を上げた。

国「そうか、何ということだ！」

乱「福地の部下は地球上の軍隊全てを傘下に収める。"人類軍"。福地がワンオーダーを使えば人類は一枚岩となり吸血者に対抗できる。何もかも、福地の筋書き通り。

つまり、天人五衰の目的はあまりに陳腐で使い古された単語_____"世界征服"」

その言葉を聞いて、間宮は目を見開いた。否、彼女だけではない、社員全員が驚愕した事だろう。世界征服なんて、この世で実現できるものなのか。全員がそう思った。

しかし、其れができてしまうのが"ワンオーダー"である。

乱「今から十二時間後、福地がワンオーダーを受け取る。其れを阻止できれば僕達の勝ちだ。そのための作戦を今から説明する。ヤツがワンオーダーを受け取る場所は_____空港だ」





_______アンの部屋にて

空港に着いた探偵社は、ひとまず身を隠すためにアンの部屋にとどまった。
敦が扉を開け、外の様子を確認する。

敦「この部屋の位置を気取られた様子はありません」

乱「作戦を確認するぞ」

敦の言葉を聞いた乱歩は、素早く次の行動へ移る。

乱「今から十五分後、偽装旅客機に乗った欧州護衛官がワンオーダーを運んでくる。
僕達はそれが福地に渡る前に強奪し破壊する。ワンオーダーを失えば、ヤツらの計画は二週間は遅れる。それだけ時間があれば特務課が各国政府に福地の企みを暴露する時が稼げる。

つまり、福地と戦うまでもなく僕達の勝ちだ」

敦「ですが、敵も其れを阻止すべく動くのでは？」

敦の質問に、乱歩は待ってましたとでも云うように「その通りだ」とか返した。

乱「だから、其れを逆手に取る。_______これには、一つ大きな抜け道がある」

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