探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】

番外篇【髪】 ページ2

強盗犯「オラァ！此の女殺されたくなけりゃ金持ってこい金ェ！！」

ショッピングモールに響き渡る男の声は周りの客を脅かせる。人質に取られている女は髪を掴まれ引っ張られている状況だ。
男は持っているナイフを女の首に近づける。

強盗犯「はやくしろ！！」

男が怒鳴る一方で、野次馬に紛れ人質を心配する社員が一人。

敦「ど、如何しましょう乱歩さん！此のままじゃ犯人の思うままです！」

乱「ん〜そう云ってもなぁ」

与「最近多発している連続強盗の調査に来たら、まんまと出逢っちまうとはねェ。運が善いのか悪いのか」

武装探偵社員、中島敦、江戸川乱歩、与謝野晶子は警察からの依頼で連続強盗の犯人を捕まえる為にショッピングモールに来ていたようだ。

そうこうしているうちにも、犯人は大声で怒鳴り散らす。

強盗犯「聞いてんのかァ！？こいつを殺してほしくなけりゃ大人しく金持ってこい！」

店員「は、はい！」

店の奥へ走って行く店員を見て、チッと舌打ちをする男。
未だナイフは人質の首にあてられているようだ。

人質は顔を伏せており、髪が乱れているせいか表情がよく見えない。

与「とにかく犯人の注意を…ん？」

乱「あ、与謝野さんも気づいた？」

敦「え？何がですか？」

乱歩は咥えていた棒キャンディを取り出し、犯人を指す。否、棒キャンディの先にいるのは…

敦「人質の女性がどうかしたんですか？」

与「嗚呼…治療されるのは強盗犯かもしれないねェ」

乱「あはは、犯人も運が悪かったねぇ」

急に強盗犯の心配をし始める二人に困惑する敦は、如何いうことかと説明を求める。しかし、其の瞬間_____

強盗犯「ぎゃああああああ！！」

敦「？！！」

男の断末魔がモール内に響いた。
何が起こったのかと野次馬が騒ぎ始める。人混みに押されながら敦が見た光景は_____…

『せっかくの休みなのに、此れじゃあ台無しね』

男に蹴りを入れたと思われる女_____もとい、武装探偵社の間宮Aの姿だった。
間宮は服についた埃を叩き落とし、男に文句を云う。

『如何してくれるのよ。髪だってせっかく_____』

強盗犯「ｯ調子乗ってんじゃねーぞ！！」

男がナイフを振り翳し、間宮に襲いかかる。しかし、彼女に焦った様子は見られない。

『危ないでしょ_____ｯ！』

強盗犯「オラァ！！」

ナイフがヒュンｯと音を立てた後、パサ…と間宮の髪が落ちる。幸い怪我はしていないようだが、彼女は目を見開き動きを止めた。

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