短篇【雨の日】 ページ1
『…この傘小さいわね』
今日は購い出し当番の間宮。どうやら雨に降られてしまったようだ。幸運なことに彼女は折り畳み傘を持ってきていた。何時もの商店街を通り、探偵社への帰路につく。
しかし、聞き慣れた声が間宮の鼓膜に響いた。
乱「Aー!!」
『げ、乱歩…』
彼女は面倒くさそうにしたのは、何か菓子を強請られると思ったからだ。しかし乱歩の手元を見ると既に両手いっぱいに購い物袋(駄菓子)が抱えられていた。
恐らく社長からお駄賃でも貰ったのだろう。
同じように屋根の下へ移動すると自分の傘を閉ざす。
そして濡れた乱歩の髪を手拭いで拭き取りながら、呆れたように問いかけた。
『購い出しは私が当番だけど』
乱「だってA遅いんだもん。僕が直々に購いに行ってあげたんだから感謝してよ!」
『そりゃどーも』
適当にあしらい、乱歩の身なりを確認した。
(両手には駄菓子だけ…傘は持ってないみたいね)
見る限り、乱歩は雨宿りをしていたのだろう。折り畳み傘の大きさにはやや不安があるが、此の男を一人残しておくわけにもいかない。
『狭いけど文句云うんじゃないわよ』
間宮は再び傘を開けると『ほら』と乱歩が隣に来るように促した。
乱「……」
『?はやくして』
乱歩は一瞬目をぱちくりさせたかと思うと、直ぐに「わーい!」と嬉しそうに傘に入る。
乱「傘はAが持ってね!」
『判ってるわよ』
軽口を叩きながらも、二人は仲良く相合傘をして探偵社へ帰ったのであった。
_______社長室にて
乱「しゃちょー!此れ社長が好きそうだから購ってきたよ!」
福「…後で頂こう。予報通り雨は降ったようだな。
"持たせた傘"は使ったか?」
其れは福沢が事前に雨予報のニュースを見ていた為、「菓子を購いに行く」と云った乱歩に持たせたモノだった。どうやら、購い物袋の中に埋まっていたようだ。
乱歩は福沢の質問に、嬉しそうに応える。
乱「使おうと思ってたんだけど、途中で"善い事"があったんだ。だから必要は無かったよ!でも有難う社長!」
福「ふ、そうか。何が有ったかは判らぬが善かったな、乱歩」
乱「うん!」
_____事務室にて
『くしゅんッ』
与「風邪かい?無理すんじゃないよ」
『え、ええ。有難う晶子』
何も知らない彼女は、今日も業務に徹したのだった。
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誰って?ふふ、アタシにも分からないわ。 - あぁぁああ!!ツンデレ具合が可愛すぎます....!! (5月8日 23時) (レス) @page38 id: 47436d7826 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - ゆいたろー!さん» ほんとにですよね〜! (2月25日 4時) (レス) @page32 id: 24087fee12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 乱歩さんかわいい!! (1月25日 22時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
さぁや - 面白くて一気見してしまいました(笑)これからも頑張ってください! (12月28日 23時) (レス) @page11 id: ee7d1e5722 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - アーテルさん» ありがとうございます!聴いてみます! (11月27日 22時) (レス) id: 2f7e82fb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年11月6日 18時