あざとい ページ12
某日_____探偵社にて
『乱歩さん、今日は依頼が入ってたでしょ?準備してくるからちょっと待ってて』
乱「…んー」
乱歩は菓子を探りながら適当な返事をする。今此の場にいるのは敦、間宮、乱歩の三人。敦はパソコンで依頼の報告書を作っている所だった。
乱「おーい敦ぃしゅうごーう」
敦が云われた通り集合すると、「此の依頼、行っといて」と分厚い資料を渡された。其の資料には、「野毛町宮川橋付近におけるトラック衝突事故と身元不明男性関連調査」と記載されている。
敦「でも、依頼は乱歩さんに…」
乱「無理!今ちょうど焼き菓子が熱くておいしいから」
敦「ええ…?」
結局、乱歩に逆らうこともできず依頼に行ってしまった敦。間宮が戻った頃には、乱歩だけが残されていた。
『敦出かけたの?』
乱「ぼくの依頼を任せた」
『はァ?!』
其れもそのはず。彼女からすれば、仲間が依頼をサボりたいが為に後輩に押し付けたように見あるのだろう。
しかし、よくよく考えてみれば此の男が何も考えなしに敦に放り投げるとは悔しいが思えないのだ。彼女にとって一番付き合いが長い乱歩だからこそ、癪だが少しわかってしまうのだろう。
『…ま、アンタの事だから何か考えがあるンでしょうけど』
乱「おぉ!僕の事よくわかってるじゃないか」
『褒めてないから。あと折角だし、ちょっと出掛けてくる』
『準備もしたし』と云うと、乱歩に背を向け歩き出す。しかし其れは叶わなかった。乱歩が服の裾をチョン…と掴んでいたのだ。
乱「何処行くの?」
首を傾げ、上目遣いで間宮に問う。
『…其れわざと?』
乱「は?何が」
『……なんでもない。あと、着いてこようってのも無駄よ。今日は私服買いに行くから』
『買うの待ってるの嫌でしょ?』と付け足すと、乱歩は少し考え込むように目を瞑ったかと思えば、「あ!」と声を出す。
乱「僕も行く!」
『げ、何よ急に。絶対つまんないけど?』
間宮の見解では、此の男が何もせずに待ってられると思えないのだ。しかも、今日は隣町まで列車を使おうと考えていた為、乱歩が「帰る」と云っても一人で帰る事ができないのだ。
乱「隣町に新しい洋菓子店ができたんだよね〜」
ルンルンと準備をしだす乱歩を見て、『やられた…』と呟く。
(云っても聞かないし…)
乱「よーし行こう!」
『はいはい迷子にならないでよ』
その後、間宮は洋菓子だけでなく寿司まで奢らせれたらしい。
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クリームソーダ(プロフ) - マジで理想が合いすぎのヤバい小説なんよ、まじ推してる!投稿ファイトです! (8月14日 20時) (レス) @page31 id: 26b86d7ce9 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 2度目のコメント失礼します!ホントに神すぎて思わずコメントさせていただきました!前のコメントで続編ありがとうございますに訂正します。ほんとうにこの作品神です。有難うございます・・・! (8月9日 20時) (レス) @page22 id: b30c1230b7 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - 乱歩さん…!可愛すぎる!!ほんとに神作品に出会えました…!いざという時の乱歩さんのかっこいいところと普段の可愛いところをキャラを保って書かれていてホントに最高です!!続き楽しみにしてます! (8月9日 17時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 続編おめでとうございます!この作品が大好きで毎日スマホ確認しちゃいます (7月31日 8時) (レス) @page9 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - 続編おめでとうございます!私この作品大好きです!いつも読むのを楽しみにしてます (7月27日 18時) (レス) @page1 id: 32263cd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2023年7月27日 15時