担い手 ページ21
『お疲れ様』
「朝香さん！」
B級ランク戦ROUND6は見事、4-3-3で玉狛が逃げ切った。朝香も澤も、良くやったと満足そうに小さく拍手を送り、他の人よりも一足先に会場を後にした。
澤はこの後妹の迎えを頼まれており、玉狛に労いの言葉を掛けられないまま本部を去った。
代わりに朝香が一人でランク戦終了直後の玉狛第二を訪ねていた。
「あれ、アサカ先輩だけ？」
『澤さんは妹さんのお迎えが』
「澤さん面倒見いいですね」
お陰様で甘やかされてるよ、と宇佐美の言葉に朝香はそう返す。どうやら甘やかされてる自覚はあったようだ。
『練習の成果、しっかり出ていたね。澤さんも褒めていたよ』
大変よく出来ました、と朝香が玉狛を一人一人見ながらそう言う。現役のA級隊員からの称賛に、四人は素直に嬉しそうな顔をした。戦闘員とは言え中身は中学生、そんな姿に朝香は自然と笑を零していた。
「あの、朝香さん」
雨取が控えめな声で朝香の名を呼んだ。それを聞いた朝香は、静かに雨取と目を合わせる。
「朝香さん、今日で最後何ですよね...ランク戦見れるの...」
雨取の言葉に三雲達はハッとする。次のランク戦は3月1日。つまり、朝香はボーダーを去った後になる。
それを聞いた朝香は少しだけ驚いたような顔をしたが、直ぐに表情を戻し雨取に目線を合わせる。
『私は、君達はきっと今後のボーダーを担う大きな戦力になると思ってる。自信を持って』
芯のある、はっきりとした声。
でも何処か優しく、安心感を帯びた声。そして、その言葉は絶対的な自身のを纏っていた。
『それに、強力な新メンバーも居るようだしね』
「！？どうしてそれを...」
『前にも言ったでしょ』
朝香は雨取に合わせていた目線を元に戻し、指先で自身の鼻をつついた。
『私は、鼻が利くの』
朝香は、既にヒュースの匂いを察知していた。
面識は無いが、三雲から香った微かなヒュースであろう匂いが彼女が以前嗅いだハイレインと似た匂いだった事から、アフトクラトルの近界民であることを朝香は何となく分かっていた。
「へぇ、アサカ先輩凄いね。そこまで分かるとは」
『空閑君のSEも中々だけどね』
彼女の推理力やらSEやらに玉狛第二は驚かされてばかりだ。
正直、ボーダーを辞めるのは勿体ないと思っていた。
『最後まで見届けることは出来ないけれど、頑張ってね』
朝香はそう言って優しく笑う。
その様子に、玉狛第二は意を決したように返事をするのだった。
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にこ(プロフ) - この度はこんなにも素晴らしい作品を作成してくださりありがとうございます（ ; ; ）出会えたことにとても感謝しております！他の作品も楽しみにしております！完結までお疲れ様でした＾＾ (2022年1月31日 0時) (
レス) @page32 id: 122cc99496 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - 綺世さん» 楽しみにしてます！(*´꒳`*) (2021年11月2日 16時) (レス) id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - そるとさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！また作品を出した際にはよろしくお願いいたします。 (2021年11月2日 11時) (レス) id: d271d60620 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ワールドトリガーで一番好きな作品だったので完結したのがとても嬉しい反面寂しい気がします、次作も楽しみにしてます！ (2021年11月2日 7時) (レス) @page32 id: 60475fc3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺世 | 作成日時：2021年8月11日 3時
