田中樹を一目惚れさせた女 (ページ10)

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揉み消されたスキャンダルページ10

Aside

樹「A、はよ」

リビングで荷物をまとめていた私に何を言うでもなく
挨拶をしてくれた樹

あ「おはよ、昨日はありがとね」

樹「ん、帰る？」

あ「うん」

樹「送ってく」

あ「大丈夫、恭平のとこだし」

樹「尚更、送ってくに決まってるべ」

あ「いや、朝早いし恭平には会えんよ？」

仲のいい後輩だから喋りたいのだろうと思ったけど
違ったみたいだった

樹「恭平目当てじゃねえから、着替えてくっから
ソファーでも座って待ってて」

そう言い残した樹は着替えを取りに寝室へと向かっていった
結局私は樹が来るまでソファーで待っていた

いつでも帰ることはできたはずなのに、私は帰れなかった

樹「お待たせ」

白Tにジーパンのラフな格好に身を包んだ樹

あ「お邪魔しました」

裏の駐車場にとめてある樹の車に乗る
助手席に座るのはなんか申し訳なくて後ろに乗ろうとすれば

樹「助手席座れよ」

あ「いやいや、大切な人しか乗せないんじゃないの？」

樹「あー、言ったな、Aが大切だから
お前は助手席座れ」

あ「ん、ありがと」

そういうふうにスラスラと女の子を落とすような言葉が出てくるんだから
すごい、そうやって女の子を落としてきたんだろうなそう考えたら胸が苦しくなった

樹「ん、着いた」

あ「ありがと」

樹「ん、今日午後からな」

あ「うん」

そう樹が車を走らせ家へ帰っていった
いつものようにパスワードを解除し恭平の部屋のインターホンを押した