妖精さんって可愛いよね、【刀剣乱舞】【妖精成り代わり】 (ページ10)

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10話目ページ10

そしたら、その景色は段々ぼやけてきた
そして、また紫色のキリになる
そのキリが全部晴れるとあたりが一気に眩しくなる

私はすぐ目を閉じた
光が少し収まってきた時に
目を開けたら、そこは

白い天井、ふかふかの布団
心地よい空気、夜の光がぼんやりと見える障子
そして、右に五虎退、その隣に薬研
左に乱ちゃん、その隣に一期さん
という状況

あぁ、ここは天国かと思ってしまうぐらい
寝顔が可愛い
少しゴソッと音を立てると、
同じ布団で寝ている五虎退が
ンッと言った、
それに私は起こさないように、と慎重に動く

私は多分見晴らしが良いと思われる方の
障子を少し開け外に出る

空を見上げるとそこには
雲一つなく、星も綺麗な
そして、憎たらしいほど輝いていた
三日月があった

私はそれを見て一気に気分が悪くなる
別に、トラウマがあるわけじゃない
ただ三日月が嫌いなだけ

理由はいつも実家から帰る時
車の中から空を見上げると
その時はよく月が見える
けど、三日月だと
私たちを空からニヤニヤしながら
嘲笑っているように見えて嫌いだった

逆に私は満月が好きだ
満月は毎回暗い夜を照らしてくれて
綺麗な円だから、レモンの飴玉にも見えて
ちょっと気分が良くなる
そして、満月はその光で
私を包み込んで癒してくれるから

とこんな理由、
……馬鹿げてるって言われそうだな

「ハハッ……」

私は床を見ながら空笑いをした
そしたら、

「えーと、泣いてるの……かな？
私がここにこさせたことそんなに迷惑だった？」

茶髪で黒目の女の子が
正座して私に問いかけてきた
私は上を向いた
その子は白いタンクトップに
紺色のスカート
まさに学校の制服を思い出させる格好をしていた

「うん、大丈夫みたいだね、
初めまして、さっきの言動でわかると思うけど
あなたをここに来させた張本人です」

アハハと笑いながら
胸にグーの手を当て自己紹介もどきをする
張本人
私は衝動で聞いてしまった

「ねぇ、なんで私をここに来させて
この子に変わらせたの？」

張本人は少し眉を下げこう言った

「君に、この本丸の子を救ってやってほしい
私も出来るならあなたの代わりにしたかった
けれど無理なの、私さ、弱いから
強がってるだけで進めないやつだから……
だから、君に頼んだ、
皆を命懸けで大切にしてくれそうな貴方を……」

「……」

私は浅いようで奥の深かった
言葉に、心が痛み
私は言葉をつまらせる

そして、どちらも悲しい顔をして
静かな空間が出来上がった